炎のダニーの巻

数日後。召し使いの老人が、焼却炉へゴミを出しに行った。焼却炉の中には、誰が捨てたのか大きな木箱が入っている。老人はそれをメイドの誰かが捨てたものだと思い、マッチで煙草に火を付けた。マッチは煙草の先を燃やすと、焼却炉の中に落とされ、やがてその火はゴミに燃え移り、炎となった。そして、立ち去ろうとした老人は気付く。焼却炉の中から聞こえた音に。

「なッ、中に誰かいるのだ!たっ…大変だッ!生きたまま焼かれているのだ!外に出ようとブツかる音だ!」

老人は急いで焼却炉を開ける。中から飛び出て来たのはジョナサンの愛犬のダニーだった。その口は針金で縛られている。燃え上がる炎に焼かれ、ダニーは苦しそうに吠え続けた。騒ぎを聞きつけたメイド達が駆けつけたときには、ダニーはもう動かなくなっていた。

『…なんてことを…、』

話を聞いたマリアは涙を流し、ジョージはそれを慰めた。ジョナサンが帰ってきた。召し使いたちから聞かされた言葉に、ジョナサンは絶句した。マリアは再び、ダニーの死に涙した。

「あまりひどいなきがらだったので、おまえには見せず、埋葬したよ…。あとでちゃんとした墓標をたててやろう。」
『…でも、どうして…誰がこんなことを…、』
「たぶん、私の家に入って、物を盗ろうと考えた盗人が、番犬がじゃまでやったことだと警察は言っている…。なぜこんなむごい殺し方をしたのか理解できんが、警戒を強めなければならん!マリアも、一人になることがないよう、常に誰かを共につけなさい。」
『…はい。』
「だいじょうぶですか?ぼっちゃま、」
「…ディオ…、」
『お兄様?』
「ディオさんはまだ学校から帰っておりませんが、」

ジョジョは自分の部屋へ行き、2時間ねむった…。そして…目を覚ましてからしばらくして、ダニーが死んだ事を思い出し…泣いた…。マリアはそんなジョナサンにかける言葉が見つからず、一人部屋で落ち込んでいた。

「マリア、ただいま、」
『…、』
「マリア?」
『!あ、お兄様、お帰りなさい。』
「…どうしたんだ、顔色が優れないが…。目も腫れてる…。泣いたのか?」
『…お兄様…、ダニーが…、』
「ダニー?あぁ、あのジョジョの愛犬か…。召し使いたちに聞いたよ。悲しい話だ。盗人の仕業だって?マリアが無事でよかった…。」
『…私は平気です…。でも、私に比べたらジョジョは…!ああ、なんという事…、いったい誰があのようなむごいことを…、こんなことが…!』

マリアはぽろぽろと涙をこぼした。ディオは、自分があのダニーを始末したことで、ジョナサンだけでなくマリアをも悲しませてしまったことに、少し胸が痛んだ。優しくマリアを抱きしめ、マリアが疲れて泣き眠るまでずっと背中を撫でてあげた。

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眠り姫



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