炎のダニーの巻

広間についたジョージが目にしたのは、一方的に殴られるディオの姿。

「ふたりとも、いったい何事だッ!」
「父さんッ!」
「男子たるものケンカのひとつもするだろう!しかしジョジョ!今のは抵抗もできなくなったディオを一方的に殴っていたように見えた!紳士のする事ではないッ!」
「え?ち…、ちがう!」
「いいわけ無用!部屋へ入っとれッ。ふたりともだ!あとでふたりとも罰を与える。」

ジョージはその場を後にした。残された二人。ジョナサンは階段を登っていく。マリアとすれ違ったが、ジョナサンは何も言わなかった。マリアはジョナサンに声を掛けようとしたが、何も言えなかった。マリアはディオの元へ向かった。ゆっくりと手摺を使って階段を降りていく。

『お兄様…、』
「…くそッ!」

ディオは歯を食いしばった。外では雨が降りだした。



部屋に戻った二人は、ソファに座っていた。ディオはいまだにジョナサンとの事を根に持っているようで、マリアはそんなディオを優しく抱きしめた。

『…何があったかは聞かないけれど、お兄様、無理して溜め込んではだめよ?』
「…分かっているよ。だが、むしゃくしゃして仕方がない。昨日に引き続き、とても腹立たしい事ばかりだ!」
『…よしよし、辛いのなら泣いていいんですよ?この部屋には私たちしかいなのだから。』
「…くっ…、マリア…、」

ディオはマリアのスカートに顔を押し付けて泣いた。マリアはディオが泣き止み、落ちつくまで優しく抱きしめ、時には頭を撫でてあげた。ディオが落ち着くと、マリアは召し使いを呼び、ディオの傷の手当てをさせた。

「しみると思いますが、ご辛抱を…。」
「…早くやってくれ、」
「では、失礼します。」

消毒を終え、傷にガーゼを貼った後、召し使いは部屋を後にする。マリアはディオを抱きしめ直した。ディオもマリアに腕を回す。

『…お兄様、今日は久し振りに二人で寝ましょう?』
「…いやだよ、みっともない。」
『お願い、私、雷が怖くて一人で眠れないわ?』
「…雷なんて…、」

外はただ雨だけが降っている。ディオはマリアの言っている意味を理解したのか、小さく笑った。

「ああ、わかったよ。一緒に寝よう、お姫様。」
『ええ、ありがとう、騎士様。』
「…ありがとう、マリア。」

ディオがマリアの頬にキスをした。マリアはイタズラに笑うと、何のこと?とおどけてみせた。

[ 17/34 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

眠り姫



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -