負けられない戦いの巻

その日の夜、ディオはどこかイライラとしていた。マリアにはその理由がわからなかったが、ディオのマリアに対する態度はどこかむしゃくしゃしていたのだった。

『…お兄様、なにかあったの…?』
「…いや、」
『聞いたわよ?お洋服の肩が破けて帰ってきたって…。』
「…あぁ、ちょっと木に引っ掛けてね。」
『それでむしゃくしゃしていたの?』
「…あの服はお気に入りだったんだよ。」
『そう…。でも、お兄様がドジを踏むなんて、珍しい事もあるのね?』
「おいおい、ぼくだって人間だ。ドジくらい踏むさ。」
『それもそうだわ…!』

マリアはいつもディオにされるように、ディオの頭をポンポンと撫でた。




翌日、ディオとマリアは、ジョージとテラスでお茶を飲んでいた。庭で遊ぶジョナサンとダニーを見て、ディオは口を開く。

「ダニー…よく訓練されていますね?ジョジョとものすごく仲が良いようだし…。」
「うむ…。すべてジョジョが教えこんだんだよ。ドアも閉めるし、小さい火なら体を使って消せる。」
『まあ、すごい…!』
「だがジョジョは、命令はしない…。ダニーにはジョジョに対する友情と信頼があるようだな。」
「友情…、犬がですか?」
「ジョジョはあんなふうだがさびしがり屋だ…。わたしは息子が5歳の時、あの犬を買ってやったんだ…。」

それから話されたジョナサンとダニーの絆の話に、マリアは感激した。

『動物と人間の絆…素敵だわ…。』
「ああ、」

ディオは、ダニーと遊ぶジョナサンを見ていた。


翌日。マリアは部屋で本を読んでいた。点字は完璧に覚えたため、すらすらと読み進める。ほんの数時間で、先日自分のお小遣いで買った、点字で書かれた童話集を読み終えた。

『…暇になったわ…、何をしましょう。』

スカートが皺になるのを忘れソファに横になる。ディオはどこに行ったのだろう。マリアは手探りで杖を探すと、ディオを探しに自分の部屋を後にした。屋敷の構造は既に完璧に頭に入っている。一週間程で覚えた。マリアはディオの部屋を覗いてみるが、声を掛けても返事がない。本をよく読む兄だ。もしや書庫にいるのでわ?マリアは歩き出した。その途中。勢いよく開けられたドアの音に、マリアは驚く。ジョナサンが帰ってきた音だった。ジョナサンはそのままディオに向かって走っていく。マリアは声のする方へ向かった。玄関の近くの広間から声がするようだ。壁伝いに足早に向かっていると、同じく騒ぎを聞きつけたジョージが召し使いとともに歩いていた。

「マリア!」
『ジョースター卿、』
「なんの騒ぎだ?」
『わかりません。私も今気になって、』
「いそごう。」

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眠り姫



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