愛しのエリナの巻

『ねぇ、お兄様、』

マリアはディオを見上げた。ディオはマリアの頭をポンポンと撫でる。

「なんだいマリア。」
『…私も外に行きたいわ…。だめ?』
「……、」
『…、』
「…分かった、いいよ。でも、条件がある。」
『条件…?』
「必ずぼくかジョジョ、この屋敷の人間と一緒にいること。いいね?」
『本当!?』
「ああ。」
『ありがとう、お兄様!大好き!』

マリアはディオに抱きついた。ディオはそれを意図も容易く受け止めると、優しくマリアの頭を撫でた。ディオの中に企てられた、ジョースター家乗っ取り計画。マリアを利用するようで嫌だが、ディオは条件の中にジョナサンの名前をあげた。これを利用しない手はなかったのだ。

「早速明日、ぼくの友達を紹介するよ。」
『うん!』

ディオの計画は、全てマリアに内緒で行われていた。勿論、マリアがそれに気付くはずもなかった。



次の日、ディオに手を引かれ、マリアは屋敷の外へ出ていた。

『久し振りに外の空気を吸うわ…。』
「暫く歩くけど、大丈夫かい?」
『ええ。お兄様のエスコートですもの、不便はありません。』
「言ってくれるなぁ…。」

二人でくすくすと笑いあいながら、ディオはいつも“友達”と会う街へ向かう。その途中、ディオの視線の先に移った女の子に走り寄ってくる青年を見つけた。

「(…ジョジョ…?)」

青年は女の子の隣に並んだとき、ぼそぼそと口を開いて走り去った。女の子は密かに頬を染めて、来た道を戻っていく。突然歩みを止めたディオに、マリアは首を傾げた。

『お兄様?』
「…ああ、ごめん。ちょっと知り合いに似てる奴を見かけたんが、人違いだったみたいだ。」
『そう。』

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眠り姫



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