愛しのエリナの巻

翌日から、マリアはピアノを習っていた。講師の先生は街で一番のピアニストだという。

「ではまず、音と鍵盤の場所を覚えましょう。」
『はい、先生。』

鍵盤一つ一つを確かめるように弾いていく。覚えが早いのか、秘められた才能なのか、マリアはものの数分で覚えてしまった。

「では次は右手だけで簡単なリズムを覚えましょう。」
『はい。』

ピアノ講師がゆっくりと鍵盤を弾きながら、音階を読み上げる。熱心にピアノを学ぶマリアに、ジョージは柔らかい表情でそれを眺めていた。

「…母さん?」
「おお、ジョジョ、よく来たね。」
「ピアノの音が聞こえたので…。マリア…?」

ピアノの音に誘われたのか、ジョナサンが部屋を訪れた。その眼元には、昨日ディオに殴られた傷に貼られたテープが。ジョナサンはピアノに励むマリアを見た。真剣なその顔を見て、ジョナサンは言葉を忘れた。

「そうだジョジョ、マリアともう友達になれたかい?」
「え…、い、いえ、まだ…。」
「そうなのか?マリアはお前と友達になりたいと言っていたぞ。是非とも話しかけてやりなさい。」
「はい!」

ジョナサンはマリアのピアノの稽古が終わるまで、稽古の様子を見つめていた。

「では、本日はここまでにしましょう。今日の復習と、指のストレッチを忘れないように。」
『はい、先生。ありがとうございました。』
「ではジョースター卿、失礼します。」
「ああ、またよろしく頼むよ。」

ピアノ講師が部屋を出ると、ジョナサンはマリアに駆け寄った。幸い今はディオは出かけている。ジョナサンの机から時計を持ちだして…。勝手に持ち出されたのだから、こちらも約束を破ってしまえ。ジョナサンはマリアに話しかけた。

「もうピアノを覚えたの?」
『…その声は、ジョジョ?』
「うん!ねえ、マリアって呼んでもいいかい?友達になりたいんだ!」
『…友達…?』

マリアは笑顔でジョナサンの方を向いた。

『嬉しい!ぜひ!私も友達になりたかったの!』

二人は握手を交わした。

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眠り姫



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