新しき友人!の巻

それから数日が経ち、二人がジョースター邸での生活に慣れてきた頃の事。ジョナサンとディオ、マリアは、ジョージに勉強を見てもらっていた。マリアは文字を見ることができないため、家庭教師から点字を習っていた。シンとした中、突如バチン、と皮膚を叩く音に、マリアは肩を跳ねさせた。

「ギャッ!!」
「またまちがえたぞッ、ジョジョ!6度目だッ!同じ基本的なまちがいを6回もしたのだぞ!勉強がわからんというからわたしが見てやれば、何度教えてもわからんやつだ!ディオを見ろッ!20問中20問正解だ!マリアも、もう点字表を覚えてしまったぞッ!」

怒鳴られてしゅんとしてしまったジョナサン。マリアはそんなジョナサンが気になっていた。



夕食時。マリアは召し使いに食事を小さく切り分けてもらって食べていた。静かな空間に、ジョナサンの食事の音だけが響いた。作法も気にせず食事を続けるジョナサンは、グラスに入っていたジュースを溢してしまった。ジョージはそれを見て怒り、ジョナサンの食事をさげさせた。ジョナサンは自室へもどり、ベッドで一人泣いた。

「マリア、部屋へ戻ろう。」

暫くして、食事を終えたディオとマリア。ディオはマリアに手を貸すが、マリアはそれをやんわりと断った。

『ジョジョのところへいってもいい?』
「…どうして?」
『ジョジョは今日、怒られてばかりで可愛そう…。それに、私ここへきてからまだ一度しかジョジョと話せてないもの…。このままじゃ私、ジョジョとお友達になれないわ…。』
「…平気さ、あれくらい。紳士を目指すためなら、怒られたくらいでしょげていられないよ。それに、今日じゃなくても、一緒に住んでるんだからいつでも友達になれるだろ。」
『…そうだけど…。』
「早く戻って、チェスでもしないか?」
『…ええ、わかったわ。』

二人は部屋に戻っていった。


翌日。マリアは出かけていったディオの代わりに、召し使いに手を借りて屋敷の中を歩いていた。

「ここから下は階段です。足元に気を付けてください。」
『ありがとうございます。』

階段に足を掛けようとした時、どこからかピアノの音色が聞こえてきた。

『…ピアノ?』
「ああ、亡くなられた奥さまが、生前よくピアノを弾いておられたので、恐らくそれかと…。おかしいですね、誰が弾いているんでしょう…。」
『そのピアノの元へ案内して頂いてもよろしいですか?』
「ええ、かまいませんよ。ささ、こちらです。」

案内してもらった部屋の真ん中に置かれたグランドピアノ。ピアノの前まで案内してもらうと、マリアは椅子に座った。手探りで鍵盤に手を添えると、一つ一つの音を耳に焼きつけるように弾いた。

『綺麗な音色…。』
「ピアノが弾けるのかい?」
『キャ!ジョ、ジョースター卿、』
「驚かせてしまってすまない。久しぶりにピアノの音色が聞こえたもので、気になってみにきたんだ。ピアノの経験があるのか?」
『い、いいえ、初めてさわりました。綺麗な音色が聞こえてきたものだから、案内してもらったのです。』
「…そうか。では誰がこのピアノを…?」
「わ、私たちがこの部屋に来た時には、ピアノの音も人の姿も全く…、」
「…ふむ…、奇妙な話だ…。」
『あ、あの、ジョースター卿…、』
「どうした?」
『わ、私、またこのピアノにさわらせていただいてもいいですか…?』
「ああ、かまわない。なんならピアノを習ってみるかい?誰も演奏してくれないなんて、このピアノもかわいそうだからね。」
『まあ!ありがとうございます!』

それから、マリアは日が暮れてディオが家に戻るまで、ずっとにこにこと楽しそうにピアノを弾いていた。

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眠り姫



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