侵略者ディオの巻

持っているドレスの中で一番綺麗なものを身につけ、母の墓の前に佇むマリア。ディオはダリオの墓の前にいる。母の墓に祈りを届けたマリアは、兄を呼んだ。

「もういいのか?」
『ええ…。』

ディオは、足場の悪い墓場をマリアが転ぶことのないようにエスコートする。マリアはディオの腕を借りて歩き出した。二人は馬車に乗り込んだ。長い事揺られてようやく馬車が止まる。

「マリアはここで待っていて。」

ディオはそう言うと、馬車を降りて行った。することがないマリアは、退屈そうに溜め息を吐いた。

「君はディオ・ブランドーだね?」
「そういう君はジョナサン・ジョースター。」

見知らぬ少年の声に、首を傾げた。兄の声は、その少年の名を呼んだようである。

『ジョナサン・ジョースター…、』

ジョースターと言えば、二人を引き取ってくれると言う貴族の名である。では、彼はその一人息子のジョナサン・ジョースターか。

「ワンワンワン!」
「ダニーッ!紹介するよ、ダニーってんだ!ぼくの愛犬でね、利口な猟犬なんだ。心配ないよ!決して人は噛まないから、すぐ仲良しになれるさッ。」
「ふん!」

犬の鳴き声にマリアはハッとする。兄は犬が嫌いだ。馬車から身を乗り出すと、ジョナサンの悲鳴が聞こえた。

「なっ!何をするだァーーーーッ!ゆるさんッ!」
『お兄様!』
「!」
「…マリア、」
『私を紹介して下さらないのですか?』
「…君は…?」

ジョナサンは馬車から下りようと手を伸ばす少女を見つめた。その瞼は閉じられており、色を窺う事も、視線を合わせる事も出来ない。

「悪かったよマリア。」

ディオはとたんに優しい表情になると、マリアを抱きかかえて馬車から下ろした。

『ま、まあ、人前で…!』
「いいじゃあないか。」
『こ、子供じゃないんですから、自分で降りれますわ!』

マリアは赤くなった顔でディオを見つめる。ディオはマリアに杖を渡すと、くすりと笑って肩をすくめた。

『ご、ご紹介が遅れてしまって申し訳ありません。私、マリア・ブランドーです。』
「マリア・ブランドー…?」
「聞いていないのか?ぼくの妹だ。」
「い、妹!?聞いていないぞ!?」
「おお、二人とも、よく来てくれたね。」

そこに現れたジョージ・ジョースターは笑顔で二人を迎え入れた。

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眠り姫



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