侵略者ディオの巻

父が亡くなったそうだ。兄は嬉しそうに話していた。そっと手を取られる。顔を向けると頬を撫でられた。私の目が見えなくなってから、私は屋根裏部屋で生活していた。兄の助けもあり、不自由はなかった。父が私に会いに来ることも、暴力をふるわれる事もなかった。私はまるで、鳥籠の中で生かされる小鳥のように、毎日を静かに、流されるままに過ごしていた。

「マリア、あの男が眠る墓へ行くか?」

握られた手に少しだけど、力が入ったのが分かる。父を一番嫌っていた兄だ。まだ根に持っている。

『…最後だから、行ってもいい?お母様にも会いたいわ…、』
「…ああ。でも、その前に話しておきたいことがある。」
『なあに?』
「ぼくはこの家を出る。」
『…、』
「ジョースターとかいう貴族の元へ行くんだ。」
『ジョースター?』
「ああ、だからこことはもうおさらばなんだ。」
『…そう…、』
「それで、マリアにもついて来てほしいんだが…、」
『…私も…?』
「ああ、唯一残ったぼくの家族だ。マリアと離れるのは寂しいよ。」
『…私も、行っていいの…?』
「すでにジョースターのところへ手紙を出しておいた。二人とも迎え入れてくれるそうだ。」

兄の優しいエスコートで、ベッドから脚を下ろした。

「荷物もまとめた。すぐにでも出発できる。」
『…お兄様、』
「なんだい、マリア。」
『…私、怖いわ…、』

手を握りしめると、優しく抱きしめられた。昔と変わらない兄の優しい香りに、涙があふれる。

「大丈夫、ぼくがマリアを護る。死んだ母さんに誓ったんだ。大丈夫だ。」

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眠り姫



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