吉良吉影と受付嬢

サンドイッチを食べ終えて、紙袋に入っていた紙ナプキンで口元を拭き、ついでに買ってきていたお茶を飲んだ。

『はぁ〜…お腹いっぱい!』
「……、」

ぐぐぐ…、と背伸びをして、吉良さんを見ると、やっぱり吉良さんは私の手を見ていた。…そうだ、約束してたんだった。あ、でも…手を洗いたいな…。

『えっと、本当に私の手でいいんですか…?』
「…君の手だからいいんだよ。」
『…何だか、恥ずかしい言葉をさらりと言いますね、吉良さん。』
「…嫌かい?」
『……嫌では…、ない、です…。』
「じゃあ、約束通り、好きに触らせてもらうよ。」
『あ、でも…手を洗った方が…、』
「いや、そのままでいい。」
『…ぁ…、はい…。えっと、どうぞ。』

私は吉良さんに両手を差し出す。吉良さんは、私の手を優しくとると、指の一本一本を食い入るように見つめ、優しく撫で回し、うっとりとした顔をした。

「…ああ、本当にいい手だ…。頬擦りしても、いいかな?」
『…ご、ご自由に…どうぞ…。』

自分の手にここまで夢中になっている吉良さんを見て、顔が赤くなる。

「失礼するよ…。」

吉良さんが、私の右手を自分の頬に当てた。ハァ、と色っぽい声を漏らす吉良さんの吐息が、私の右手に触れて、くすぐったい。なんだかいけない事をしているような気分だ。

「…ん?」
『…?』
「いけない子だ…。さっき食べたサンドイッチのマヨネーズが残ってるじゃないか。行儀よく、溢さないように食べなきゃいけないよ。さぁ、僕が綺麗にしてあげよう。」

突然そう呟いた吉良さんに、さっき付いたマヨネーズを紙ナプキンで拭ったっけ、と思い出した。やっぱり無理にでも手を洗っとけばよかった。とか何とか思っていると、手にぬるりと生温かい感触がした。

『ひっ!?』
「おっと、すまない。驚かせてしまったね。でも大丈夫。すぐに綺麗になるから。」

そう言って、吉良さんは私の手を舐め始めた。

『ぁッ、ちょ、吉良さん…!?』

その感触がくすぐったくて、変な声が出た。…て、そんなことより、吉良さん!

「ハァ、」
『…ッ!!』

ぴちゃぴちゃと、まるで犬や猫が飼い主の手を舐めるように、手の平に吉良さんの舌が這う。吉良さんの尋常じゃない行為に、私の背に悪寒が走った。

『吉良さん…、ちょっと、ホントに…、』
「…もしかして、舐められて欲情でもしてるのかな?」

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