吉良吉影と受付嬢

「名字さんは何が食べたい?」
『…わ、私は特に…、決めてなかったので、吉良さんに任せます。』

なんだか名残惜しそうに離れた吉良さんの手。…妙に手元に視線を感じる。私の手に何かついていたのだろうか?

「…そうか。…では、サンジェルマンのサンドイッチでもどうかな?最近、あそこのサンドイッチにはまっていてね。」
『…はい、私も食べてみたいと思ってたので!』
「それじゃあ、行こうか。」

吉良さんは私に背を向けて歩いていく。私もその後を追った。時々私の方を見てくる吉良さん。…やっぱり、手元に視線を感じる。…気になる…。

『…あの…、』
「ん?」
『私の手…、何かついてましたか?』
「…いや、本当に綺麗な手だなと思ってね…。」
『…なんか照れます…。』
「実を言うと、僕は手の綺麗な女性が好みなんだ。」
『…え?』
「名字さんみたいに、手の綺麗な女性が好きでね。」
『…はぁ…。えっと、なんと返せばいいのか…、』
「ああ、気にしないでくれ。」

そうだったんだ…。手か…。手ねぇ…。

『あ!手と言えば、ハンドモデルさんって、手が日焼けしないように、毎日日焼け止め塗ったり、手袋を嵌めたりするそうです!テレビで言ってました!』
「それは大変だね。手が商売道具だから、仕方がないだろうが…。」
『でも、夏に手袋は暑そうですよね…。』
「……。」
『…吉良さん?』
「…君の手は、ハンドモデルより綺麗だよ…。思わず頬擦りしたくなるくらいだ…。」
『……えっと、あ、そっか…、手がお好きなんですよね?』

なんだか、手を口説かれてるみたいだな…ハハ…。でも、手って口説けないよね…。…吉良さん…なんか…、凄い手を見てるけど…、そんなに頬擦りしたいのかな…?

『えっと…、何と言うか…、吉良さん…?』
「…すまない。少し暴走してしまったよ。」
『いいえ、好きなものに正直な吉良さんは、素敵だと思いますよ。私の手でよければ、後で好きに触ってもらっていいので。』
「…本当かい?」
『はい。…でも、今はちょっと、お腹すいたので…。』
「…じゃあ、早くお昼を済ませようか。」
『はい…!』

…って、よく考えたら自分何言ってるんだろう…!!で、でも、前言撤回できないよね、これ…!何か吉良さん張り切って早足になってるし…!



暫く歩いて、サンジェルマンに着いた私達は、それぞれサンドイッチを買って、近くの公園へやってきた。公園には、犬の散歩に来た人や、私達と同じく昼食を食べている何処かの会社のサラリーマン、日向ぼっこでもしているのか、ベンチに座っているお年寄りの姿もあった。私達は少し奥の方にある木の根元に腰を下ろし、サンドイッチの入った紙袋を開ける。

『おいしそう…!出来立てだからすごくいい匂いがしますよ!』
「ああ、本当だ…。さて、食べようか。」
『はい!いただきます。』
「いただきます。」

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