吉良吉影と受付嬢

「吉良先輩!」
「…ああ、山崎君か。」
「お、まだ俺の名前覚えててくれたんすね!」
「……、」
「吉良先輩?」
「…いや、君は大学時代からの後輩だからね。」




吉良吉影と受付嬢
 Part 2 接触




取引先へ、新入社員の山崎君と伺うことになった。山崎梓(やまざきあずさ)は、僕の大学時代の後輩である。女みたいな名前が嫌いだ、と昔言っていたのを覚えている。

「あ、聞いて下さいよ先輩!」
「…何だい?」
「俺、昨日彼女と別れたんすよ!」
「…そうか。」
「聞いて下さいよ!まじであの女、」

彼は、僕が特に何も言わないのをいいことに、別れた彼女の愚痴をこぼしている。しかも、その元カノとやらは、うちの会社の受付嬢だというではないか。

「顔とか、身体つきっつーか、…ま、パーツはいいんすけどねー…。」
「…不満があったのか?」
「まー、とりあえず地味な奴なんすよー!」
「…そうか。」
「アッチの方も、結構良かったんすけどねー?手とか、綺麗な方だったし。指も長くて。」
「…へぇ…。」
「まあ、もう何とも思ってねーっすけど。いやー、別れ切り出した時の顔っつったら、ホント今思い出しても笑えますよ。この世の終わり!…みたいな!?」
「…それは言いすぎじゃないかな?彼女は、この世の終わりと思うくらい、山崎君を愛していたんだろう。」
「……、」

しかし、彼の話は興味深いものだ。パーツも良くて相性もいい。…しかし、中身は地味…。派手すぎる女よりはましだと思うが…。近頃いい女もいなかったから、僕は欲求不満気味…というか、新しい女が欲しいと思っていたところだ。

「…丁度いいな…。」
「…ん?なんか言いました?」
「…いや、ただの独り言だ。」

会社に戻ったら、声を掛けてみるか…。

「…そう言えば、君のその元カノは、うちの会社の受付嬢と言っていたな…。」
「ああ、はい。今日もいましたよ?黒髪で、髪の毛長くて横結びにしてたやつっす。」

そう言われて記憶を探る。今朝、出勤した際にそのような感じの女を見かけた気がする。思い出していくと、何だか機械のように一定のリズムで挨拶をしていた、面白い女がいた…。

「…ああ、彼女か…。」
「俺、他に好きな人できたって言ってたじゃないすか?あれ、同じ受付嬢の枢ちゃんなんすよぉ〜!」
「…誰だい?」
「えー、枢ちゃんも知らないんすか?」

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