吉良吉影と受付嬢

次に目を開けると、自分の家にいた。握った携帯、机に置かれたままの夕飯、無機質な蛍光灯の音。そのままだった。私が死ぬ前の、部屋。…本当に私は死んだの?

≪かくれんぼするひとこのゆびとまれ≫

ハイドアンドシークが音もなく現れた。

『…私…、』
≪ますたーはしんでない≫
『…どうして…?』
≪わたし、ますたーまもった。ばくはつさせられるまえに、ますたーのかくしてたじかんにどした≫
『…吉良さんは…?』
≪あのおとこは、ますたーをころしたとおもってる。でも、ますたーはしんでない。しぬまえのじかんにもどってきたから。でんわをしたら、あのおとこがくる。きっとまたころされる。…それでもでんわする?≫
『…私…、生きてる…の…?』
≪ますたーはいきてる。わたし、ますたーしなせない。ますたーのじかんをかくしてる。だれにもみつけさせない。これぜったい≫
『…ありがとう…。…でも私、吉良さんに電話する。そして、自首するね。』
≪…どうして?≫
『…梓と枢…、二人は死んだんでしょう?』
≪…≫
『だったら、どんな理由でさえ、私が殺してしまったんだもの。責任はとらなきゃ…。』
≪…わたし、ますたーにうそついた≫
『…え?』
≪あのふたり、しぬまえにいちど、かくした。だから、さがせばいる。でも、かくれんぼちゅうだんすることになる≫
『いい!それでもいい!…ううん、中断して!お願いよ!私、二人の事、もう怒ってない!だから、二人を元通りに戻してあげて!』
≪………ますたーがそういうなら≫

ハイドアンドシークは箱の中に消えた。そして、また声がする。

≪もういいかい≫
『…もういいよ…。』




<<ありがとう…>>




どこからか、二人の声が聞こえた気がした。

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