吉良吉影と受付嬢

あっという間だった。




吉良吉影と受付嬢
 Part 11 もういいかい




ぶつけた頭が痛かった。絞められた首が痛かった。息ができなくて苦しかった。そして何より、好きな人に殺されることに、心が痛かった。苦しい痛い息ができない。でも、思い出した。枢も、梓も、こんな気持ちで死んでしまったのだと思うと、涙が出た。謝りたい。謝って済むものじゃあないって解かってる。でも私は―――――…





「名前!」
「名前ー!おーい!起きてー!」
『…ん…、…あ、れ…?』

聞き覚えのある声に、目を開ける。一面真っ白で眩しくて、少ししか目を開けれなかった。

「もう、やっと起きた!おはよう!」
『…かな…め…?』
「そうだよ?なによ、私以外に誰だって言うの!」
『ど、して…、』
「どうしてはこっちのセリフだよ。」
『…梓…?』
「だから、俺たち以外にだれがいんだよ…!」

声は確かに二人の声。でも、顔が見えない。どうして、二人がここにいるの?もしかして、私…死んだの?

「どうしてお前がここにいるんだよ。」
『…私…、吉良さんに…、』
「え!?ちょ、吉良さんと一緒にいたの!?もう!うらやましい!」
『え?』
「だって、うちの会社で一番のイケメンじゃない!」
「あー…、俺妬けちゃうなー!名前が吉良先輩と二人っきりでいたなんてー。」
『…ま、って…、私たち、別れたのに…、』
「……その事だけど、…俺たち、間違ってたよ。」
「名前、今までごめんなさい。私たち、名前の事裏切ってた…。」
「今までごめん。謝って済むわけじゃあないって解かってる。けど、これだけは言いたいんだ。なぁ、俺たちの分まで幸せになれよ。」
「そして、温かい家庭もって、いい奥さんになりなさい!」

二人の身体が光に包まれていく。

『待って!!!私、二人に謝りたい!ごめんなさい、酷いことして!でも、』
「「かくれんぼ、楽しかったよ!」」

……どうして…?訳が分からない…。涙が零れた。私、何で泣いてるの…?

『あぁ…、そっか…、寂しいんだ…。』

ポツンと零れた言葉を最後に、私の意識は遠退いていった。

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