吉良吉影と受付嬢
やっと、だ。
吉良吉影と受付嬢 Part 10 狂気の沙汰
ゴツンと音がした。構わない。やっと、やっとこの手を手に入れることができるのだ!細い首を絞める両手に力がこもる。苦しそうに息を漏らす名前が可愛くて仕方がない。そうだ、もっと、もっと苦しそうにしろ。
『ぅっく…、ぃっ…、ら……、さ…っ、』
「いいぞ、その表情、かなりそそるよ名前…。」
『…ぁっ…、』
僕の手を退かそうと立てられた爪が弱々しい。バタバタともがく脚を、自分の脚で押さえつけた。そうだ、今僕は名前を押し倒している。セックスの為じゃあない。殺しの為だ。さらに力を込めたらきっと、この細っこい首は折れてしまうだろう。
「かわいいなぁ、名前…。」
『…ッ…、』
名前の瞳から涙がこぼれた。それを境に閉じられた瞳。弱々しい抵抗もなくなり、床に力なく腕が転がる。
「あぁ、やっと僕のものになったんだね、大丈夫。これからはいつまでも愛してあげるよ、名前…。」
手の甲にキスを落とす。まだ生温かい人肌だ。名前の頬を撫でて、涙の痕を拭った。
「…君のことは、本当に好きになれただろうね…。だけど、“名前”…君とはここでもうお別れだよ。僕は君の“手”と一緒になるんだからね。」
キラークイーンを出して、名前の腕だけを残して爆発させた。鞄も消し去り、証拠もない。
「さぁ、僕たちの初夜を過ごそう。おっと、その前に二人でお風呂に入らなくちゃあね。僕の背中を流してくれるかい?もちろん、僕も君を隅々まで洗ってあげるよ。」
再び手の甲にキスを落とす。今度は温度すら感じなかった。……これでいいのだよ。僕に人を好きになる資格なんてないのだから。
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