吉良吉影と受付嬢

一番に、貴方の顔が浮かんだの。




吉良吉影と受付嬢
 Part 9 疑問




死体を見つけてパニックになった私が真っ先に電話をかけた相手は、吉良さんだった。息も乱れて何を言っているか分からない私に、吉良さんは静かに語りかけてくれた。私を心配して、家にまで来てくれた。私は、吉良さんが好きだ。こんな状況で何だと思うが、実感した。吉良さんに、今夜はうちにおいでと言われて嬉しかった。でも、不謹慎だとも思った。私、仮にも殺人を犯しているはずだから。私の家で、人が死んでいたんだから。原因も分からない。でも…、

「どうしたんだい…?」
『え!…あ、いや、吉良さんって…お料理上手なんですね。ポテトサラダ、とっても美味しいです。』
「…ああ、ありがとう。」

もうひとつ、謎な事がある。それは、死体だ。あの死体を、吉良さんが処理してくれた。でも、一体どうやって…?

『あ…の、』
「吉影。」
『…え?』
「僕のことはそう呼んでくれ。僕も名前と呼んでいいかな?」
『…う、うん。』

突然の事で驚いた。そうだ、私たち、付き合おうって話になったのよ。

『あの、ね、吉影さん。』
「何だい、名前。」

持っていたお箸を皿の上に置く。机を挟んで向かい側に座っていた吉影さんに、すかさず右手を握られピクリと肩が跳ねる。

『あの死体って、吉影さんの知ってる人だった…?』

ピクリ、と彼の眉が持ち上がる。心なしか、握られた手に少し力が入った気がした。

「…本当に、覚えていないのか。」
『え…?』
「あの二人は、君のよく知っていた人物だ。男の方は山崎梓。君の元彼だよ。」
『…う、そ…、』
「女の方は福富枢。君と同じ受付嬢だ。」
『…そん、な…、でも、私…、』
「…君にはもう見えているはずだ…。」

そう言った吉影さんの身体が二重にブレたかと思うと、彼の背後に、猫のような顔で人間のような身体つきをした何かが立っていた。

『ひ…っ!!』

思わず握られていた右手を引いてしまった。しかし、吉影さんは小さく笑みをこぼすと、指を組み、その上に顎を置いてこちらを見る。

「僕のスタンド、キラークイーンと言うんだ。」
『…スタンド…?』
「君にもいるだろう?…確か、…ハイドアンドシークと言ったかな。」
『!!』

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