吉良吉影と受付嬢

夕飯を食べ終え、食器を洗っていた時だった。着信を告げる携帯のメロディが家に響いた。





吉良吉影と受付嬢
 Part 8 キラークイーン




食器を洗う手を止めて、タオルで手を拭う。未だ鳴り続ける携帯を手にとり、通話ボタンを押した時だった。

「…もし【助けで…ッ!】…名字くんか?」
【うっ…、ハァッ、吉良さ…ッ、助けて…ッ!】

聞こえたのは名字名前の泣きながら話す声。

「…どうしたんだい、随分と息が荒いようだが。」
【…わた、私…ッ、ハッ…、私…、】
「落ち付いて…、ゆっくりと息を吸って…?」
【…うっ、ふっ…、ハッ…、ハァ…、ハァ…、】
「…いいかい?なにがあったのかゆっくり話してくれ。」
【…私、…、箱…、箱が…、】
「…箱?」
【箱が…、ハイド…アンド…、シークって言って、箱…が…、】
「…ハイドアンドシーク…、」
「私…、吉良さ…、私…、どうすればいいの…ッ!?」
「落ち付いて…、なにがあった…?」
【私…、ひ、人…、人…を…、】
「人を?」
【人を…、…殺したの…。】

頭を鈍器で殴られたような衝撃。あの大人しい名字名前が、人を殺した…だと?…確かに、今日の彼女は少し違和感があった…。しかし、あの名字名前が…?

「…誰を…、殺したんだい…?」
【…わ、からない…。私、知らない…人…、誰…?分からないの…!助けて、吉良さん…!】
「……すぐに行こう。君の家を教えてくれ。」
【うっ、ハッ…、―――の前にあるアパートの…、】

そして、僕は家を出た。

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