吉良吉影と受付嬢

携帯電話に、名字名前の電話番号とメールアドレスを登録していた時だった。昼休み前に別れた山崎君が、誰かと電話をしながら公園に入ってきた。

「…え?アイツもサンドイッチ買ってきたの?」

茂みの奥の木の根に座っている僕には、気付いていないようで、山崎君はすぐ近くにあったベンチに座った。

「今さ、サンジェルマンの近くの公園にいるから来てよ。…え?いや、もう会社出たんなら大丈夫だって!うん、うん。はいはーい、待ってるから。」

通話が終わったのか、携帯電話をポケットに直した山崎君。誰と電話をしていたのか、興味はなかったが、昼休みが終わるまで、後三十分近くある。僕は暇潰しに、彼を観察することにした。

「ふんふ〜ん…、」

山崎君が鼻歌を歌い始めた、数分後…。

「遅くなってごめんね、梓!」
「枢ー!」

名字名前と同じ、受付の制服を着た女が、サンジェルマンの紙袋を手に公園に入ってきた。しかも、二人は呼び捨てで呼び合っている。そこで、ふと疑問が浮かんだ。…確か、山崎君は、昨日名字名前と別れた。理由は、他に好きな人が出来たから。そして、その好きな人とは…、

「梓がやっと名前と別れてくれたから、これからは名前がいない場所で堂々と一緒に入れるね!」
「いやー、別れて正解だった!てかさ、アイツ、二股かけられてるのにすら気付いてなかったからな!」
「…本当は、私との関係が浮気だったのに、本命より浮気相手とくっつくなんて、誰も思わないでしょ!まぁ、名前と結婚する予定だったって話聞いたときは、すごくショックだったけど…。」
「でも、俺が今好きなのは枢だけだし!名字とか、ただの遊びだよ!」
「もう!」

…成程…。

「面白い関係だな…。」

名前名前の知らないうちに、山崎梓と福富枢はデキていたということだ。しかも、名字名前を切り捨てて、浮気相手だった福富枢とくっついたということ。何とも哀れな事だ。

「まあ、僕は浮気なんてするような男ではない、が…、これは先が面白くなりそうだな…。」

僕が名字名前を殺す時、この事実を伝えたなら、名字名前は一体どういう顔をするのだろうか…。

「うむ…、楽しみだ。」

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