吉良吉影と受付嬢
最初に話し掛けた印象は、単純なそうな女…だった。
吉良吉影と受付嬢 Part 4 手
サンドイッチを食べたら、手を好きに触っていいと言われて、僕は興奮した。同時に、あの綺麗な手を触らせてくれるなんて、面白い女だ…と思った。しかし、あまりにも興奮し過ぎた僕は、彼女に突き飛ばされて、初めてやり過ぎたと思った。柄にもない…。素直に謝罪をすれば、驚く事に、彼女はすんなりと僕を許してしまった。…本当に単純な女だ。おまけに、無理だろうと思いながら、また手を触らせて欲しいと言えば、少し躊躇しながらも「自重する」事を条件に承諾してくれた。…今日の僕は運がいいのかもしれない…。
「それじゃあ、連絡先を交換しないかい?」
『…そ、そうですね…。』
ほら、彼女は躊躇するものの、僕の提案を了承する。…これはいい。今日を境に彼女に更に近付いて、回りには怪しまれないよう殺してしまおう。そして彼女の手は僕のモノになる。
『これ、私の番号です。』
胸ポケットから出されたメモ帳を一枚破ると、同じく胸ポケットにさされていたボールペンで、サラサラと番号を書いていく彼女。
「ありがとう。すまないが、僕にも一枚紙を頂けないかな?」
『あ…、どうぞ。』
ビリビリと音を起てて切り離されたメモ用紙に、僕の番号とアドレスを書いていく。僕のメモ用紙を覗きこんだ彼女。
『…ぁ、そっか、アドレス書くの忘れてた…!ちょっといいですか?』
僕が先程受け取った紙を、彼女に一度返す。彼女はサラサラと自分のアドレスを描き加えて、僕に渡した。
『はい。』
「どうぞ。」
お互い紙を交換して、それぞれのポケットに直し、そろそろ会社に戻らなくてはならないという彼女と別れ、僕は一人公園に残った。
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