太陽
それから、一行は洞窟の中から外の様子を窺っていた。しかし、ジョセフが覗いていた双眼鏡はレーザーによって破壊されてしまう。
「どこにいやがるッ!どーやってこっちを見てやがるんだッ!」
そう言ってジョセフが拳を握った時だ。
「ウックックックックックック、フッフッフッ、」
花京院が突然笑い出したのだ。ジョセフは、暑さに頭をやられてしまったのかと思った。すると、
「ウヒヒヒ、ウハハハハハハハハハ、」
「じょ…、承太郎!?お…、おまえもッ!」
「ウヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」
「ポ、ポルナレフッ、おまえまでッ!つ…、ついにみんな暑さのせいでおつむがやられちまったか…わ…、わしと春乃妹ちゃんだけか!冷静なのはッ!」
ジョセフは、洞窟の奥で小さく座っていた春乃妹を見る。春乃妹も、三人の異常な状態に目を丸くしていた。
「ウクハハハハハ、勘ちがいしないでくださいジョースターさん。あそこの岩を見てください。人がかくれるほど大きくありませんか?」
「?なんのことだ?」
「こんどは、反対側にあるあそこの岩を見てください。」
「?」
『…あッ!』
「春乃妹はもう気付いたみたいだね。ジョースターさん、まだ気がつきませんか?反対側にあの岩とまったく同じ対称の形をした岩がある。影も逆についている。ということは…、」
「オラァ!」
承太郎は、スタープラチナで穴の外に石を投げた。石はまるでその空間に穴が開いたかのように、何かが割れる音が響いた。そして、見知らぬ男の声。
「やれやれ、情けねーじじいだ。てめー暑さのさいで注意力がにぶったことにしてやるぜ。とても血のつながりのある、おれの祖父とは思えねーな。」
割れた物を良く良く見ると、それは鏡で、敵は鏡に景色をうつしながら、一行を尾行していたのだった。
「えっ、…ということは、…こいつもうやっつけちまったってことかァ〜?もう終わり?こいつの名前も知らないのに、「太陽」のスタンドはきれいにかたづいたのか〜?」
それから一行は、真っ暗な砂漠を瞬く星を眺めながら横断したそうな。
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涙の壺