太陽

砂漠の横断を始めてどれくらいの時間が経っただろうか。ジリジリと照りつける太陽が、一行の体力をジワジワと奪っていく。ふと、花京院は背後を振り返る。

「おかしい。やはり、どうも誰かに見られている気がしてならない。」

花京院と春乃妹の乗るラクダの後ろを歩いていたポルナレフ。

「花京院、少し神経質すぎやしないか?ヤシの葉で足跡は消しているし、数十キロ先まで見わたせるんだぜ。誰かいりゃあわかる…。」
「いや…、実はおれもさっきからその気配を感じてしょうがない…。」
「承太郎、しらべてみてくれ。」

承太郎がスタープラチナで望遠鏡を覗く。しかし、何も不審なものは見当たらなかった。

「しかし…、なにか妙だ。なにか…が。」
「おい行こうぜ。陽がくれたらテントをはろう。」
『…今何度なの…?』
「ん?…おい見ろよ、気温が50℃もあるぜ。」
「今の時間がいちばん暑い時間じゃ。」

そう言って、ジョセフは腕時計を見る。針は8時10分を指している。ジョセフは異変に気付き、承太郎の時計を確認する。承太郎の時計もジョセフと同じ時間を指していた。

「どういうことだ!午後8時をすぎているというのに!なぜ太陽が沈まないッ!」

気温は更に上昇。温度計は60℃を示す。

「し…沈まないどころか!!太陽がッ、西からグングンのぼってきているぞッ!」
「ま…、まさか、あの太陽がッ!」
「スタンド!!」
『暑い…、融けそう…。』
「ああ、このまま一日中…、いや…、一晩中だったな…。おれたちを蒸し照らしてゆでダコ殺しにする作戦か…、あのスタンドはッ!」
「いや…、そんなに時間はいらない。サウナ風呂でも30分以上入るのは危険とされている。」
「どうやって闘うッ!」
「てっとり早いのは!本体をブチのめすことだな。」
「うむ…本体か…。」
『でも…、どこにいるの…?』
「パキスタンで出会った「恋人」のように遠くから操作できるやつかもしれなかったらどーする!?」
「それは考えられん!力の弱いスタンドなら、遠隔操作できる…。しかし、この「太陽」のエネルギーは今…体験しているとおり!本体は絶対近くにいるはずッ!」

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