恋人
春乃妹の元に歩み寄った承太郎。春乃妹はただぼうっとダンが吹き飛んだ先を見ていた。
「おい、大丈夫か。」
『…ん…、』
小さく頷いた春乃妹。しかし、痛々しい傷が頬に残っている。承太郎は、先程春乃妹がダンにされたことを思い出し、苦虫を噛み潰したような表情をした。そして、
「こっち向け。」
『…?』
「やれやれ、花京院にはいうなよ。…消毒だ。」
春乃妹を引き寄せ、その唇にキスを落とした。
『…ッ、』
「…、」
たがいに顔を赤くしながら、二人は下を向いた。
『…舌が、』
「…?」
『入ってきて…、気持ち悪かった…。』
「…アイツ…、」
『…、』
「…やれやれ、もう一回だ。」
承太郎は春乃妹の顎に手を添えると、深い口付けをした。
『…んっ…、』
「…っ、」
初めてしたディープなキスに、春乃妹は息継ぎのタイミングが分からず承太郎の胸板を叩いた。
『ふっ、はっ…、』
「…やれやれだぜ…、」
春乃妹が荒くなった息を整える。承太郎は静かに帽子を下げた。
『…これも、お兄ちゃんには内緒ね…?』
「?」
春乃妹は承太郎の唇に、自らキスをした。それから数分後に、花京院達と合流するまで、二人は真っ赤な顔で手を繋いでいたそうな。
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涙の壺