恋人

「おら承太郎、金を出せ。金目のものは全部だ。」
「…、」
「これしか持ってないのか。時計はなまいきにタグホイヤーだがな、借りとくぜ…。おい、お前も出せ。」
『…持ってない…。』
「ふざけんなッ!」
『うッ!』

ダンは春乃妹の顔にビンタをくらわせた。ピクリと反応する承太郎。それを見て、ダンが何を察したか、ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべる。

「なぁ〜るほどなァ…、なぜおまえが承太郎を庇ったのか分かったぞ?おまえ、承太郎が好きだな?」
『…ッ、』
「ほほー、その反応、…図星か。」
『……、』
「そして承太郎、お前もこの女に気があるんだろう。そうだろう?ハハン、このダン様がキューピットになってやったぞ。喜べ…!」
「…、」
「喜べっつってんだろーがッ!」
『あァッ!』

ダンは春乃妹の髪を掴み、自分の方へ引っ張った。痛みに涙を浮かべる春乃妹。その涙を、ダンが顎のほうから舐め上げる。

『…ぅっ…、っ、』
「ほら承太郎、喜べ。」
「…ッ…、やったぜ…、」
「…フン、まあいい。おい女、名前は!」
『…ふっ…、っ、…花京院、春乃妹…、っ…、』
「春乃妹、こっちを向け。」

ダンに顎を掴まれ、無理矢理向かされた春乃妹。ガタガタと震えながら涙を流す春乃妹を見て、ダンは満足そうに唇を上げる。

「恐いか…?泣いてるなぁ!ハハッ!そそるぞその顔ッ!もっと泣け!…おっと、さっきの傷で血が出てるじゃあないか。綺麗にしてやろう。」

そう言って、ダンは春乃妹の唇を舐めた。承太郎が目を見開く。春乃妹がもがくが、ダンは春乃妹の頭を押さえつけて、更に口の中に舌を入れようとする。春乃妹は歯を食いしばり、大粒の涙を流した。

『んッ…ふっ…、』
「…てめぇ…、」
「…アン?俺を殴るか?承太郎。」
『…っ、ダメっ!…っ…たしは、…大丈夫…、』
「……ッ、」
「くっくっく…くくっ、いいぞ、いいぞ!楽しくなってきたなぁ、承太郎よォ!」
「てめー…、おまえにかしてるツケ、必ず払ってもらうぜ…、」

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涙の壺



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