恋人

その後、ホテルを出た一行が目にしたのは、荒れ果てた墓地だった。改めて正義の使い手、エンヤ婆の恐ろしさを実感した一行。DIOの正体を聞きだすべく、エンヤ婆を連れて次の町へ向かおうとした時だった。

「お嬢さん、俺とドライブいかねーかい?」
『…ひッ!』

春乃妹の腰を掴んで引き寄せたのはホル・ホース。しかし、春乃妹がそれを拒み、ホル・ホースの体を押しのけると、その手は簡単に離れた。そして、

「おれはやっぱりDIOのほうにつくぜッ!また会おうぜ、お嬢ちゃん!そしたら俺とデートしようぜッ!」
「てめーッ、戻ってこい、ジープをかえせこの野郎ッ!」
「汚らわしい手で春乃妹に触るな!」
「花京院、それ何かちがうッ!今はジープだッ!。」
「ポルナレフ!春乃妹があのスケコマシに攫われそうになったんだぞ!」
「お前、そんな言葉知ってたのか!」
「おいお前たち、それどころじゃあないぞッ!」
「ひとつ忠告しておく。そのバアさんはすぐに殺した方がいいッ!さもないと、そのババァを通じて、DIOの恐ろしさを改めて思い知るぜ、きっと!」

そう言って、ホル・ホースはジープで走り去った。



それから、なんとか次の町に辿り着いた一行。

「おっ、ドネル・ケバブがあるぞ。ハラごしらえでもするか。すまない、6人分くれ。」
「6こ千二百円ね」
「千二百円?」

ここから、ジョセフの交渉術に入る。そして、ジョセフが無事買い物を終えて馬車に戻ってきた時だった。

「おいッ!みんな、そのバアさん、目を醒ましておるぞ!」
「えッ!」

振り返ると、確かにエンヤは目を覚ましていた。しかし、その顔は恐怖に歪んでおり、ガタガタと震えている。

「な…、なぜおまえがわしの前にくる。このエンヤが、DIO様のスタンドの秘密をしゃべるとでも思っていたのかッ!」
「え!?」

エンヤの目線をたどると、先程ジョセフがドネル・ケバブを購入した店の店主がいた。そして、彼が掛けていたサングラスを外し、布を取ったと同時に、

「あ、あ、あ、あババババババァーッ!」

エンヤの目や口から、数本の触手が這い出てきた。

「なぜ、きさまが、このわしを殺しにくるーッ!!」
「DIO様は決して何者にも心を許していないということだ。口を封じさせて…頂きます。そしてそこの5人…。お命ちょうだいいたします。…おや、いいんですか?女性にそのようなグロテスクな光景を見せて…。」
『…ッ…、ハッ、…ウッ…、』
「春乃妹、見るな!」

あまりのショックに息を乱した春乃妹。すぐ隣にいた承太郎が春乃妹の頭を自分の胸に向けて抱きよせた。

「うぽわあーーーッ!!」

エンヤの叫びと血が飛び散る。

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