正義

三人が廊下で談笑していた時だ。ロビーのほうから物音が響き、不審に思った承太郎が廊下に顔を出す。ポルナレフは階段を降り、ロビーに向かう。

「ちょいと下を見てくるぜ。ロビーにいるからよ、なにかあったらよんでくれ。」

そう言って、ポルナレフはロビーのほうへ消えていった。

「…何の話をしてたんだ?」
「ん?あ…、あぁ…、この町は不気味だって話を…、」
「…そうか。」

それから、ジョセフと花京院は部屋に戻った。承太郎は何を思ったか、ポルナレフの後を追い、ロビーへと降りて行った。

「しかし、いったいどこにスタンド使いが潜んでるんでしょうか…。」
「うむ…。なるべく早くこの町をでたい。春乃妹ちゃんの体調がすぐに良くなればいいんじゃが…。」
「…やっぱり、無理にでも連れて来るべきじゃあなかったのか…、」
「それは分からん。じゃが、少しは変化はあったんじゃろう?」
「そうですね。春乃妹はこの旅を始めて、あまり泣かなくなった…。」
「…確かに、春乃妹ちゃんの涙を見ないのォ…。心の成長じゃろうか。」
「逆にストレスになっていなければいいですけど…。」
「旅が終わったら、カウンセリングにでも連れて行ったがいいだろう。」
「…そうですね、一緒に行ってみます。」

花京院はそう言って春乃妹の前髪を避けると、おでこに手を当てた。

「…やっぱり、まだ少し熱いな。」

それから数分後、顔を赤らめながら咳をして、消毒液を要求するポルナレフと、いつもと変わらない承太郎が部屋に戻ってきた。

「えっ?どこなめただって?よくきこえんかったが、」
「どこだっていいじゃあねーかよ、ベロを消毒するからよーっ、早く薬くれ。」
『…怪我、したの…?』
「春乃妹…!起きたのか!具合はどうだ?」
『…さっきより楽になった…。それより、怪我したなら…治さなきゃ…。』

春乃妹はフラフラと立ち上がった。しかし、すぐに立ち眩みで倒れそうになる。

「…やれやれ、気を付けやがれ。」
『…あ、りが…と…、』

それを静かに支えたのは、承太郎だった。途端に春乃妹は顔を赤くして俯く。その拍子に、承太郎の脚から出血しているのを見つけ、すぐさま涙の壺を出したのだった。

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涙の壺



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