正義

そこに一人の老婆が歩み寄った。

「旅のおかたのようじゃな…。この霧ですじゃ、もう町を車で出るのは危険ですじゃよ。ガケが多いよってのォ…。わたしゃ民宿をやっておりますが…、今夜はよかったらわたしの宿にお泊りになりませんかのォ。…安くしときますよって。そちらのお嬢しゃんも、旅の疲れが出ておられるようですしのォ。」

老婆の言葉に甘え、宿に行くことになった一行。

「今夜はもう、ずっと油断は禁物ですね。春乃妹も心配だ…。」
「しかし…、誰が襲ってくるわけでもねーが、不気味な町だぜ。あの警官共も、あんな変奇な死体の殺人事件だというのに、大騒ぎもしてねーぜ。」
「ささ!ジョースター様、あれがわたしのホテルですじゃ。ご案内いたしますよって…、ついてきてくだしゃれ。」
「待ちなばあさん。あんた…、今ジョースターという名を呼んだが、なぜその名が分かった?」

承太郎の言葉に、老婆は人当たりのいい笑顔で振り返り、ポルナレフを指差した。

「いやですねェ、お客さん。今さっき、そちらの方がジョースターさんて呼んだじゃありませんか。」
「え!おれ!?そういやあ呼んだような…、」

それから一行は、老婆の経営するホテルに着き、部屋で休むことになった。花京院は春乃妹をベッドに寝かせる。

「…旅の疲れが出たようじゃな…。」
「女にはキツイもんばっかりだったからな。」
「…熱もある…。」
「大丈夫かよ…。春乃妹は日本に帰したがいいんじゃねーか?」
「…しかしのォ…、」
「…、きっと、春乃妹は帰りませんよ。」
「…やれやれだぜ…、」
「承太郎、春乃妹ちゃんを心配しとるのか?」
「…なんだじじい、悪いか。」
「ホホゥ!青春じゃのォ!若い若い!」
「…、」
「…、」
「…なんじゃ、お前たち、元気がないのォ!」
「ジョースターさん、」
「なんじゃ花京院。」
「………いや、ちょっといいですか。ポルナレフも。」
「ん?なんだ花京院。」
「承太郎、春乃妹を少し頼むよ。」
「…ああ。」

花京院は、ジョセフとポルナレフを連れて部屋の外に出た。

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