正義

結局、他の者にホテルを訪ねることになった一行。しかし、ポルナレフが声を掛けた人物は、恐怖の顔で固まっていた。驚いたポルナレフが男の方を揺するが、男はぐらりと傾き、その場に倒れてしまった。その口から這い出たトカゲが二匹。

『きゃっ!』

トカゲに驚き、後ずさった春乃妹。

「恐怖の顔のまま死んでいるッ!」
「な…、何だこいつッ!なんで道端で死んでいるんだッ!死因はなんだ!?死蔵マヒか?脳卒中か!」
「かもしれん…。だが…、ただの心臓マヒじゃあないようだな。」

男の手には拳銃が持たれていた。しかも硝煙がまだ上がっているということは、ほんの数分前に撃たれたということだ。しかし、ざっと見たところ、銃痕どころか致命傷になるほどの傷は見当たらない。花京院は近くを歩いていた町の人間に声を掛けた。しかし、人が死んだというのに無関心な態度に、花京院は冷や汗を流す。

「銃が発砲されているというのに、誰も気づかないのか…。ニューヨークや東京などの大都会以上に無関心の人々だ…。」
『…お兄ちゃん…、』
「…春乃妹?どうしたんだい?」

口元を押さえて蹲った春乃妹。花京院は春乃妹の背中に手を添えてしゃがんだ。

『…この町…、変…。気持ち…悪…、』
「春乃妹…ッ!」

力無くその場に倒れ込んだ春乃妹。花京院は慌てて春乃妹を支える。

「ジョースターさん、春乃妹が…ッ!」
「なッ、大丈夫か春乃妹ちゃん!」
「どうする?じじい…。なぜ死んでいるのか…、死因をハッキリ知りたいぜ。それに、こいつも休ませなきゃならねー。」

承太郎は春乃妹を指差す。花京院は春乃妹の腕を肩にかけてそのまま横に姫抱きをした。

「まさか、新手のスタンド使いの仕業じゃあねーだろーな。」
「うむ…、考えられん…。動機がない。「追手」が無関係の男を、我々が町に着くより前に殺すじゃろーか。殺すとしたなら…いったいなぜじゃ?」
「おい、ますます霧が濃くなって来たぜ、薄気味悪いな。なんかあの部分、ドクロの形にみえないか。」

それから、ジョセフが男の死体を観察した。男の体には、不自然にも喉の下に傷穴があった。しかし、まったく血が流れていない。

「どうやら、こいつはもう普通の殺人事件じゃあねーようだ。おれたちには知っとく必要がある。」

男の服を脱がせて、更に観察することになった。男の体には大量の穴が開けられていた。しかし、どの傷からも血が流れていない。しかし、男は絶命している。

「とにかく、これで新手のスタンド使いが近くにいるという可能性がでかくなったぜ。」

ジョセフは町を出るといいジープに飛び乗った。しかし、それはジープではなく、建物の塀だった。しかも、尖った槍状の塀にジョセフは慌てて隠者の紫を出す。間一髪串刺しから逃れたジョセフ。

「おい…、じじい一人でなにやってんだ…?アホか。」
「オーッノォーッ、なにやってるんだって。今…、ここにジープがあったじゃろッ!?」
「え?ジープ?ジープならさっきあそこにとめただろーが。」
「えっ!い…いまたしかに…、」
「それより、早く宿を探しましょう。春乃妹を休ませたい。」
「そ、そうじゃな。」

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