運命の車輪

と、思われたが、花京院の法皇の緑が、車のワイヤーウインチを掴んで、敵の車に引っ掛けた。

「フン!やるな…、花京院。ところでおまえ、相撲好きか?とくに、土俵際のかけひきを!手に汗にぎるよなあッ!」

承太郎のスタープラチナが、ワイヤーウインチを引っ張り、相手の車を引っ張り寄せた。そして、その車体を殴る反動で、自分達の車を崖の上に着地させた。

「ええ…。相撲、大好きですよ。だけど承太郎、相撲じゃあ拳で殴るのは反則ですね。」

崖の下に落ちた車。それを見届けた一行の背後から、声がした。

「「車輪」…『運命の車輪』、「スタンド」!!だからできたのだッ!ジョースター!」
「なにィーーーッ!!わしの名を言ったぞ、わしの名を知っているということは!「スタンド使いの追手」!」
「どこから電波を流しているんだ、まさか、今落ちていった車じゃあないだろうな。」
「バカな、メチャクチャのはずだぜ、」
「いや、車自体が「スタンド」の可能性があるぜ。ベトナム沖で、オランウータンが操る船、それ自体のスタンド「力」と出会ったが、その同類ということは大いにありうる。」
「『運命の車輪』これが、我が…スタンドの…暗示。」
「『運命の車輪』!!」

その時、一行の立っているすぐ真下から、岩を削るような振動が起きた。そして、一行の車の下から、何かが地面を割って飛び出してきた。飛び出してきたのは、先程崖の下に落ちていったはずの車だった。運命の車輪だ。メチャクチャだった車体が独りでに直り、変形した。そして、一行に向けて走ってきた。

「フン!」

そこに立ちふさがったのは承太郎。

「力比べをやりたいというわけか…。」

しかし、一瞬敵の車体が光ったかと思うと、承太郎の身体から出血した。

『承太郎…!』
「み…、見えなかった…。いったいなんだ、今の攻撃は…!?何をどうやって撃ちこんできやがったのだ!?」
「承太郎ッ!」
「きゃああああ!!」
『…ッ!』
「うぐああ、ちくしょうッ!なんだこれわぁ!」
「全然見えない…。何かを飛ばしてきているようだが…、」
「大丈夫か、承太郎!?」
「俺の心配はしなくていいぜ。それより、どんなワザか知らんが、コントロールはいぜ。」
「きさまらのッ!脚を狙って走れなくしてひき殺してくれるぞッ!」
「岩と岩のスキ間に逃げ込めッ!」

走り出した一行。その後を追ってくる運命の車輪。岩の間をグニャグニャと変形しながら通り抜けてきた。

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