運命の車輪
その後、車の異常を点検した後、先程のトラックを放置して先に進むことになった。辿り着いたのは、街道の茶屋。そこで一息つくことになった一行。
「なにッ!」
椅子に座って寛いでいた一行は、ジョセフの声に反応した。ジョセフが振り返った先には、木の下に停められている先程の車。
「やっ、やつだッ!あの車がいるぞッ!」
車に近付いてみるが、そこに運転手の姿はなかった。店主に、ドライバーについて聞いてみるが、店主は車がいつ止まっているのかさえ気付いていなかった。
「全員ブチのめすッ!」
承太郎の発言に、花京院と春乃妹を除く三人が、店の客に殴りかかった。バタンとドアを閉める音が響いた。
『…あ…!』
「えっ!」
振り向くと、木の下に停まっていた車が走り去っていく。
「誰か、やつの顔を見たか!?」
「い…、いや、またもや腕だけしか見えなかった。」
「追っかけてとっ捕まえて、はっきりさせんことには、イラついてしょうがねーぜッ!」
一行は車に乗り、奴を追いかけた。途中、パキスタンと書かれた標識の横を通過したが、その影に、“危険”の文字の標識が落ちていた事に、気付く者はいなかった。車を追いかけてカーブを曲がった一行の車。しかし、カーブの先にあったのは、けして頑丈とは言えないつり橋。しかも、それは車じゃあ渡れない。急ブレーキを掛けて停車する。
「やつがいないッ。や…やつはどこだ!?カーブをまがったとたんに消えやがった?車じゃ吊り橋は渡れないし…、」
「まさか、墜落していったんじゃあねーだろーなー。」
『でも…、音も何も聞こえなかった…。』
その時だ。突然の衝撃。振り向くと、追いかけていたはずの車が真後ろから衝突してきていた。
「つ…、突き落とされるぞッ!」
「承太郎ッ!『スタープラチナ』で、そのクソッたれをぶっ壊してくれッ!」
「無理だ…。殴れば反動がある。おれたちのクルーザーもフッ飛ぶぜ…。」
「そ…それじゃあ、もうだめだ!!」
一行の乗った車は、崖から突き落とされてしまった。
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涙の壺