運命の車輪

暫くして、ポルナレフがふとバックミラーを見た時だった。先程追い越した車が、一行の乗っている車の背後にピッタリとついてきていた。

「ポルナレフ、片側によって、先行かせてやりなさい。」
「ああ……。」

ポルナレフは窓から右手を出すと、背後の車にジェスチャーを送った。それを見た車が、ライトを点滅させながら一行の乗った車を追い越した。その際に横を通った車を見ると、かなり砂埃を被っているらしく、運転手と思われる人物の姿は見えなかった。そして、

「おいおい、どういうつもりだ?またトロトロ走り始めたぞ。ゆずってやったんだからどんどん先行けよッ!」

車はどんどんスピードを落としていく。

「ポルナレフ、君がさっき荒っぽい事をやったから、怒ったんじゃあないですか?」
「運転していたヤツの顔は見たか?」
「いや…、窓がホコリまみれのせいか、見えなかったぜ。」
「おまえもか…。まさか、追手のスタンド使いじゃあないだろうな。」
「気をつけろ、ポルナレフ。」

その時だ。前を走っていた車の運転席の窓が開き、中からドライバーと思われる手が出てきたかと思うと、先程のポルナレフ同様、道を譲るジェスチャーをした。

「プッ!先に行けだとよ。」
「ポルナレフ、おまえが悪いんじゃぞ。挑発するからじゃ。」

ポルナレフがハンドルをひねる。車を追い越した瞬間、目の前には大型のトラックが迫っていた。

「なにィ!!」
「だめだッ!ぶつかるッ!」

次の瞬間、車はトラックに正面から激突していた…と、思われたが、承太郎のスタープラチナが激突を防いだ。そして、車は勢いに弾かれて後方に吹っ飛んだ。着地の衝撃が一行を襲う。春乃妹は無意識に承太郎の腕にしがみ付いて目を瞑った。

「あっ、あぶねぇッ!フ〜ッ、承太郎の「星の白金」のパワーがなかったらおれたち…、グシャグシャだったぜ。」

ポルナレフが顔を真っ青にする中、春乃妹は自分が無意識に承太郎にしがみ付いたことに気付き、慌て手を放した。

『…あ…、ご、ごめんなさい…。』
「…ああ。…怪我はねえか。」
『…大丈夫…。』
「どこじゃ!?あの車はどこにいるッ!」
「どうやらあのまま走り去ったらしいな…。どう思う?今の車の野郎、「追手のスタンド使い」だと思うか?それともただの、精神のねじまがった、悪質ななんくせ野郎だと思うか?」
「追手に決まってるだろがよォーッ!おれたちは殺される所だったんだぜッ!」
「だがしかし…、今のところ…、「スタンド」らしい攻撃は全然ありませんでしたよ。」
『…、』

[ 52/134 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

涙の壺



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -