運命の車輪

その後、満足気な顔をしたジョセフと、眉を顰めて顔を青くしポルナレフがホテルにやってきた。

「春乃妹ー!やっぱりおれには春乃妹だけだー!」

そう言って、春乃妹に抱きつこうとしたポルナレフ。しかし、それはポルナレフを除く男性陣に阻止されるのだった。

『…ポルナレフ…?』
「ちくしょー!癒しの春乃妹にも触れねーってどういうことだよ、テメーら!」
「いや、なんとなくじゃな。」
「右に同じ。」
「僕も右に同じ。」
「ちくしょー!」

それから、一行はホテルに一泊すると、翌日チェックアウトし、車でインドを横断していた。その車内。

「インドも北部へくると、ヒマラヤも近いせいかさすがに肌寒いな。」
「パキスタンへの国境も近いな。」

ポルナレフが運転する中、助手席には花京院。後部座席には右から承太郎、春乃妹、ジョセフの順で座っていた。

「それに、道幅の狭い山道も多くなるぜ。前の車チンタラ走ってんじゃねーぜ、邪魔だ。追い抜くぜ!」

ポルナレフは荒々しい運転で、前をゆっくりと走る車を追い抜いた。勢いにつられて身体が傾く。

『きゃっ…!』
「おい、ポルナレフッ!運転が荒っぽいぞッ!」
「へへへへ!さすが四輪駆動よのォーっ。荒地でもへっちゃらさっ!」
「ポルナレフ、今の車へ小石はね飛ばしてブツけたんじゃあないのか!?事故やトラブルは、今…困るぞ。ひょっとすると、わしは聖地ベナレスでの医者殺しの容疑で、警察に指名手配されとるかもしれんのだからのォ〜〜っ。無時国境を越えたいわい!」
「しかし…、インドとももうお別れですね。」
「うむ。インドに着いた時は、「なんじゃーっ、このガラクタぶちまけたよーな国は!」と思ったんじゃが、国境が近付いてくると、あのカルカッタの雑踏や、ガンガーの水の流れが早くもなつかしいのォ。」
「おれはもう一度インドへ戻ってくるゼ。アヴドゥルの墓をきちっと作りにな。」
『…アヴドゥルさん…、天国にいるのかな…?』
「…さあな。…ゲッ!うおおおおおっーっ!」

突然ブレーキを踏んだポルナレフ。その勢いにつられ、身体が前に投げ出されそうになった一行。

「ううっ……、言ったばかりじゃろッ!事故は困るってッ!よそ見してたのかッ!?」
「ち…、違うぜ…。み…、見ろよ、あそこに立ってやがるッ!し…、信じらんねぇッ!」

ポルナレフが指を指した先には、何時ぞやに別れたはずの家出少女の姿が。

「やれやれだぜ。」

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