皇帝と吊られた男

アブドゥルを病院まで運んだ三人は、花京院とポルナレフに合流するために病院を後にした。その途中。

「春乃妹ちゃん、アヴドゥルが生きていることは、誰にも言わないでくれるかの?」
『…?』
「花京院にはいいんじゃあねぇか?」
「…うむ、花京院なら、口が堅そうだしの。」
『…敵に油断させるため…?』
「ああ。それもあるが、アヴドゥルを敵の手の届かぬうちに回復させたいからな。」
『…分かった…。』
「さて、花京院とポルナレフを探すか。」
『…こっち…。』

春乃妹はスタスタと歩きだした。

「…分かるのか?」
『…なんとなく、お兄ちゃんがいる気がするの…。』
「「…?」」

承太郎とジョセフは顔を見合わせた。

「…双子の勘ってやつか。」
「ほぉ、すごいのぉ。」

春乃妹の勘を頼りに向かった先には、確かに花京院とポルナレフの姿があった。その数メートル前にはカウボーイ姿の男が、こちらに向かって走ってきている。

『…あ、あの人…、敵…。』

承太郎は男が角を曲がる数秒前に、拳を突き出した。

「グビィーッ、」
「ああ!ジョースターさん!承太郎!春乃妹!」
「アヴドゥルのことはすでに知っている。春乃妹ちゃんがわしらを探して、教えてくれたからな。彼の遺体は、簡素ではあるが埋葬して来たよ。」
「ひきょうにも、アヴドゥルさんを後ろから刺したのは、両右手の男だが、直接の死因はこのホル・ホースの「弾丸」だ。もっとも、アヴドゥルさんの「火炎」なら、簡単にかわせただろうがね…。この男をどうする?」
「おれが判決をいうぜ。「死刑」!」

ポルナレフがチャリオッツを構えた時だった。一人の女が、ポルナレフの脚にしがみ付き、その動きを抑えつけた。

「お逃げください!ホル・ホース様!」
「な!なんだあーッ!この女はッ!」

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