皇帝と吊られた男

春乃妹に嫌い発言をされた男、ホルホース。春乃妹は心配そうにアヴドゥルを見つめる。すると、その様子を見たポルナレフは唾を吐いて舌打ちをした。

「説教好きだからこーなるんだぜ。なんてザマだ。」
「な…、何だと?ポルナレフ、」
「誰が助けてくれと頼んだ。おせっかい好きのシャシャリ出のくせに、ウスノロだからやられるんだ…。こういうヤツが足手まといになるから、おれはひとりでやるのがいいといったんだぜ。」
「た…、助けてもらってなんてやつだ。」
「迷惑なんだよ、自分の周りで死なれるのは、スゲー迷惑だぜッ!このオレはッ!」

振り返ったポルナレフの頬には、大粒の涙が伝っていた。花京院はアヴドゥルの脈を計る。しかし、アヴドゥルの脈は感じられなかった。ポルナレフはホルホースに向き合う。

「ま!人生の終わりってのは、たいてーの場合あっけない幕切れよのォー。」
「ポルナレフッ!相手の挑発にはのらないでください。まだわからないのですか。アヴドゥルさんは言った…。「ひとりで闘うのは危険だ」と。しかし、あなたはそれを無視した…。あなたは相討ちしてでもかたきを討つと考えているなッ。」
「おれに…、どうしろというのだ…。」

涙の壺は、アヴドゥルの傷を全て塞いでしまった。しかし、アヴドゥルは目を覚ますことはなかった。

「ポルナレフ!ゆっくりぼくたちの所までもどってくるんだ!あのトラックで逃げる。」
「野郎〜〜ォ、」
『ポルナレフ!早く…!』
「お…、おさえろというのか、」

ポルナレフはふと、建物の窓見目が向いた。そこには鏡の中で動くJ・ガイルの姿が。鏡に映るJ・ガイルは、水溜りから這い出るとポルナレフの背後に迫った。

「ポルナレフ、挑発に乗るなァーッ!!さそっているんだーッ!」

花京院の忠告もむなしく、ポルナレフは窓を突き破った。

「…ポルナレフ…!くそ…!」
『…お兄ちゃん…、私…、承太郎とおじ様を探してくる…!』
「…ああ、頼んだよ春乃妹。ポルナレフはぼくが何とかしよう。気を付けるんだよ?」
『…うん…。』

花京院がエメラルドスプラッシュを放った隙に、春乃妹は走り出した。

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涙の壺



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