皇帝と吊られた男

ポルナレフがお手洗いに立って数分後、トイレのある方向から何かが割れるような音が響いた。

「な、何の音だ!?」
「ポルナレフがいるほうからです。」
「行くぜ。」
「春乃妹はここで待っていて!」
『…はい…。』

春乃妹を除く男性陣が、ポルナレフの向かった男子トイレへと走って行った。

「ついに!やつがきたゼッ!承太郎!おまえが聞いたという、鏡を使うという「スタンド使い」が来たッ!俺の妹を殺したドブ野郎〜〜ッ、ついに会えるぜ!」

スタンド使いからの再襲撃を避けるため、喫茶店を後にした一行。

「ジョースターさん、おれはここであんたたちとは別行動をとらせてもらうぜ。妹のかたきがこの近くにいるとわかった以上、もうあの野郎が襲ってくるのを待ちはしねぇぜ。敵の攻撃を受けるのは不利だし、おれの性にあわねえ。こっちから探し出してブッ殺スッ!!」
「相手の顔も、スタンドの正体もよくわからないのにか?」
「「両腕とも右手」と分かってれば十分!それに、ヤツの方もオレが追っているのを知っている。ヤツもオレに寝首をかかれねぇか心配のはずだぜ。」
「こいつは、ミイラとりがミイラになるな!」

それから、ポルナレフとアヴドゥルは口論となった。しかし、誰も彼を止めることはできず、ポルナレフは去っていく。

『…待ってって。』
「え?あ…、春乃妹!」

春乃妹は、離れていくポルナレフを追った。

『ポルナレフ…ッ!』
「…春乃妹?何しにきやがった!俺は戻らねえぞ!?」
『違う…。…これ…あげる…。』

春乃妹がポルナレフに差し出したのは、一羽の“折り鶴”。

「…こりゃあ…、」
『折り鶴って言うの…。日本では、平和の象徴だったり、千羽折ったらお願いごとを叶えてくれるって言われてるの…。…千羽も折れなかったけど、…ポルナレフが…妹さんの為に、勝てますようにって…。』
「…春乃妹…、ありがとよッ!」

ポルナレフは春乃妹の頭をポンポンと撫でると、受け取った折り鶴を手に、その場を去って行った。

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