皇帝と吊られた男

「アヴドゥル…、いよいよインドを横断するわけじゃが、その…ちょいと心配なんじゃ…。いや…、「敵スタンド使い」のことは勿論だが、わしは実はインドという国は初めてなんだ。インドという国は、こじきとか泥棒ばかりいて、カレーばかり食べていて熱病かなんかにすぐにでもかかりそうなイメージがある。」
「俺、カルチャーギャップで体調をくずさねェか心配だな。」
「それはゆがんだ情報です。心配ないです。皆…、素朴な国民のいい国です…。わたしが保証しますよ…。さあ!カルカッタです、出発しましょう。」

無事にインドに辿り着いたジョースター一行。しかし、そこは…、

「ねぇ…、めぐんでくれよォ、」
「バクシーシ、」
「バクシーシ、」
「バクシーシ!」

恐ろしいほどの人に囲まれた一行。恵んでくれと手を差し出す子供。

「うえぇ〜〜!牛のウンコをふんずけちまった、チクショー。」
「僕はもうサイフをすられてしまった。」
『きゃ…ッ!』
「春乃妹!?」
『…い、今…、』

春乃妹は花京院にしがみ付いた。心なしか耳まで真っ赤にして、涙ぐんでいる。

「春乃妹…、どうしたんだい?」
『…だ、誰かに…お尻を触られたの…。』
「「………。」」

か細い声でそう漏らした春乃妹。すぐさま花京院とポルナレフの鋭い眼光が、インドの人々に注がれたのは言うまでもない。

「た…、たまらん雑踏だ!おお!タクシーだ、あれに乗ろう。」
「だんな、ダメダメ。この牛が昼寝からさめ、どくまで出発できませんぜ。戒律で牛は神聖な生き物なんす。」
「ア、アヴドゥル、これがインドか?」
「ね、いい国でしょう。これだからいいんですよ、これが!」

その後、何とかバクシーシ攻撃から逃れた一行は、喫茶店でチャーイを飲んで一息ついていた。

「要はなれですよ。なれればこの国の懐の深さがわかります。」
「なかなか気にいった。いい所だぜ。」
「マジか、承太郎!マジに言ってんの?おまえ、」

チャーイを飲んでインドについて語っているアヴドゥル。ポルナレフはお手洗いに席を立った。

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涙の壺



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