悪魔

花京院が受けた電話は、アヴドゥルからだった。

≪どうやら、ポルナレフが「悪魔」のカードの暗示を持つ、デーボという名のスタンド使いに遭遇したらしい。≫
「ポルナレフが…!?」
≪ああ。今、ポルナレフから連絡が入った。攻撃された形跡がないのに、足をえぐられたらしい。いつどこで敵に遭遇するか分からん。一先ず私たちのいる部屋に集合してくれ。≫
「分かりました。1212号室でしたね。春乃妹も連れてすぐに行きます。」
≪ああ。≫

通話を終えて、受話器を元に戻した花京院は、承太郎に今聞いたことを伝えて、すぐに部屋を出る準備をした。承太郎も、それにならうと部屋を出て、隣の1206号室の戸をノックした。すぐに開かれたドア。開いたのは少女。

「邪魔するぜ。」
「え、あ!」

ズンズンと部屋に入った承太郎。しかし、春乃妹の姿がない。承太郎は少女に振り返った。

「おい、もう一人はどうした。」
「…い、今、シャワー浴びてる…。」
「シャワーだ?チッ、こんな時に…、」

そこに、花京院が部屋に入ってきた。

「おや、春乃妹は?」
「シャワーだと。」
「ああ、そうか。海水で濡れてから、お風呂に入ってなかったからね。僕が呼んでくるよ。」

シャワールームに向かう花京院。それを聞いた少女が目を見開く。

「ちょ、ちょっと待った!あたい、あたいが行くよ!あ、あたい女だし!」
「え、でも、」
「いいからさっさと呼んでくれ!」

花京院の言葉に少女は何を想像したのか、顔を赤くしながらシャワー室に駆け込んだ。承太郎は溜め息を吐いた。

「おい、花京院。」
「何だい、承太郎。」
「…てめー、未だに妹と風呂に入ってる…とか、言うなよ。」
「え、どうしてわかったんだい?」
「…やれやれだぜ、花京院。」
「…冗談だよ、承太郎。たまに入るくらいさ。」
「………、」

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