『…見つ、けた…、』

春乃妹はそう呟くと、圧迫感に耐えられず気を失ってしまった。

「春乃妹…っ!」
「くぅ…、恐らく、承太郎はスタンド使いと闘っておるはず…!もう少しの辛抱じゃ…!」

それからものの数分で、船がぐにゃぐにゃと歪み始めた。

「おぉ!」
「もしかして、JOJOが…!」
「これでやっと解放されるぜ…!」
「しかし、急いで脱出しなければ!」

船の圧迫から解放されたジョースター達は、先程乗ってきたボートを海に浮かべた。花京院は春乃妹を引っ張り上げると、横抱きにしてボートに乗り込んだ。承太郎以外の面々もボートに乗り込む。

「…あ、来たぞ!おーい、こっちだJOJO!!」

ポルナレフは、少女を連れてこちらに向かってくる承太郎に手を振った。全員ボートに乗り移った所で、沈んでいくスタンドの船から起きた波で、ボートは進み始めた。

「我々は完全に圧倒されていた。承太郎が気付かなければ間違いなく…、やられていただろう。しかし、こいつ以上の我々の知らぬ強力なるスタンドと、これからも出会うのか?」
「……、」

花京院は櫛で自分の髪型を整える。その膝の上に頭を乗せて、気を失っていた春乃妹は目を覚ました。ゆっくりと起き上がる。

『ケホッ…、』
「大丈夫かい、春乃妹…。」
『…もう、平気…。』
「ガムかむかい?」
『…ありがとう…、ポルナレフ…。』
「やれやれ、モクがしけちまったぜ。」
「かわかす太陽と時間は十分あるぜ、JOJO。」
「無事救助されて、シンガポールに着けるよう祈るしかないな。」

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