突然の事にその場がパニックになった。すぐさま敵のスタンド攻撃と思い、ジョースター達はスタンドで会話をする。敵スタンドの姿を見たか?と。しかし、誰もスタンドを見ていなかった。花京院は法皇の緑を船に忍ばせた。ジョセフは水平達に下の船室から動くなと命令し、少女の前にしゃがみこんだ。

「君に対して、一つだけ真実がある。我々は君の見方だ。」
「よし、2組に別れて敵を見つけだすのだ。」

アヴドゥルの指示により、承太郎、アヴドゥル、花京院組、ジョセフ、ポルナレフ、春乃妹組に別れて、暫く船の隅々まで調べた。しかし、スタンド使いの気配どことか、花京院の法皇の緑も船からなにも掴むことができなかった。その時だった。船が突然ジョセフ達の身体を沈めていった。

「こ…、これ…は!?」
「こ…、この貨物船は!?ま…、まさかこの「船自体」がッ!?」
『…いッ!』

次々と船に呑みこまれていく身体。

「花京院、「法皇の緑」をはなって、承太郎に連絡を!」
「だ…、出せない…。ガッチリ「スタンド」自体がつかまえられているッ!」
『…涙の壺…、』

春乃妹が涙の壺を出した。涙の壺は幸いにも動けるようで、壺を両手に抱えたままフラフラと承太郎を探しに飛んで行った。

『あの子なら…、いけるはず…、』
「春乃妹…、」
「で、でもよ、絶体絶命だぜ!?俺たちはすでに完全に囚えられていた…。」
「ゲホッ、あ…、圧迫が強まってきた…。こ…このままでは、胴体が切断されるぞ…、ぜ…、全員…。」
「う…、うかつ…だった…、」
『ゲホッ、ゴホッ!』

沈む身体が締め付けられ、ジョセフ達は激しく咳込んだ。




所変わって承太郎。オランウータンがスタンド使いだと気付き、闘っていた。そして、スタンドが貨物船本体だと気付いた時には、消火ホースのようなもので身体を壁に縫い付けられていた。壁から姿を現したオランウータンは、船長服とキャップを身に纏い、パイプをふかしていた。その手には辞典が握られていた。辞典には“Strength”の文字が。記載されていた意味に、“タロットで8番目のカード。”という文字を見つけ、承太郎は理解した。そして、オランウータンは承太郎とスタープラチナの身動きを封じると、布一枚しか身に纏っていない少女に近付いていく。

「きゃああああ、」

その時だ。オランウータンの目の前を、何かが横切った。それに視線を奪われたオランウータン。承太郎は、学ランのボタンを指で飛ばし、オランウータンの頭に命中させた。

「あれは…、春乃妹の涙の壺…。」

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涙の壺



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