船が爆発し、ボートに乗り移った一行と、船の水平たち。それから、船は沈み夜が明けていった。

『っくしゅん!』
「…大丈夫かい、春乃妹…。」
『…平気…。』

服はすでに乾いていたが、夜は少し冷えたようだ。春乃妹はくしゃみを一つすると、身を震わせた。承太郎から借りた学ランは、すでに返されている。

「おいで…、」

花京院は春乃妹を腕の中に招き、その小さな体を抱きしめた。

「…あの二人って恋人同士なの?」

少女はジョセフにコソコソと質問した。

「いや、二人は双子の兄弟だ。」

それを聞いた少女はたいそう驚いた顔をしていたそうな。

「それより、水を飲むといい…。救助信号は打ってあるから、もう直助けは来るだろう…。」
「何が何だか分からないけど、あんたたちいったい何者なの…?」
「君と同じに旅を急ぐものだよ。もっとも、君は父さんに会いに…、わしは娘の為にだがね。」

少女はジョセフに貰った水筒に口を付けた。しかし、少女は水を吐きだした。

「こらこら、大切な水じゃぞ、吐きだすやつがあるか?」
「ち…、違う、み、みんなあれを見て!」
「え!?」

少女が指差す方にあったのは、大きな貨物船。一同は喜んでいたが、承太郎だけが難しい顔をしていた。しかし、このままボートに浮いているわけにもいかない為、一行と水平たちは、貨物船に乗り込んだ。貨物船は人の気配もなく、静まり返っていた。しかし、船や機械類は正常に作動している。暫く船の中お探索していると、一つの船室の中に檻があり、その中にオランウータンが入れられていた。

『…本物…?』
「猿なんぞ、どうでもいい。こいつに餌をやってる奴を手分けして探そう。」

ジョセフが船室の窓から外を覗いた時だった。外にいた水平の後ろから、一人でにクレーンが動き始め、水平の頭から口を貫いた。

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