暗青の月

春乃妹を抱えて水面にでてきた承太郎。

「やはり、わしの孫よ。」
「おお!」
「JOJO!春乃妹!」

すぐさま花京院の法皇の緑で二人を引き揚げた。

「やれやれ、こいつは気を失ってやがる。」
「水を飲んでしまっとるかもしれん!人工呼吸が必要じゃな!」
「なら俺がやるぜ!」
「止めてくれ、ポルナレフ。」
「ひでぇ!」
「ここは僕でしょう。兄妹ですし。」
「うむ…、」
「ですが、兄妹で人工呼吸とは…、」
「何かいかがわしく聞こえるぜ?」
「そりゃお前の頭だけじゃ、ポルナレフ。」
「ひでぇ!先に言ったのはアヴドゥルだぜ?」
「…やれやれだぜ…。」

埒が明かないと思った承太郎は、甲板に寝かせた春乃妹に近付くと、的確な応急処置を施した。つまり、人工呼吸だ。

『ゴホッ、』
「あっ、承太郎、てめー、いつの間に!」
「春乃妹のファーストキスが、承太郎…だと…!?」
「てめーら黙ってろ。」

目を覚ました春乃妹。数回咳き込むと、ゆっくりと起き上がった。承太郎は無言で、着ていた学ランを春乃妹の身体にかけた。

『…承太郎…?』
「…なんだ。」
『…助けて、くれたの…?』
「…あぁ。」
『…、』

春乃妹は肩にかかった承太郎の学ランを握りしめ、俯いた。

『…ありがとう…。』

小さな声だったが、それは確かに承太郎の耳には届いた。

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