暗青の月

「シブイねェ…。まったくおたく、シブイぜ。確かに俺は船長じゃねー。…本物の船長はすでに香港の海底で寝ぼけているぜ。」
「それじゃあてめーは、地獄の底で寝ぼけな!!」
「きゃああああ!!」
『きゃっ!!』

突然だった。スタンド使いと分かった船長に気を取られている隙に、敵スタンドが少女の脚を掴んで引っ張った。驚いた少女は咄嗟に、一番近くにいた春乃妹の腕を掴んだ。ものすごい強さで少女の足を引っ張った暗青の月に、春乃妹も一緒に捕まってしまった。

『ぁ、』
「春乃妹!!」
「てめーらと6対1じゃあ流石の俺も骨が折れるから、正体を隠し、一人一人順番に始末してやろーと思ったが、ばれちまってはしょうがねぇーなぁ。この小娘だけを人質にとろうと思ったが、一緒にもう一人ついてきたのは運が向いている証拠…。今からこの小娘たちと一緒に、サメの海に飛び込むぞ。」
「人質んなんかとって、なめんじゃあねーぞ。この空条承太郎が、ビビり上がると思うなよ。」
「なめる…。これは予言だよ!ついてきな、海水たらふく飲んで死ぬ勇気があるならな。」

暗青の月と、その使い手は、春乃妹と少女を捕えたまま、海に飛び込もうとした。すかさず、承太郎のスタープラチナが暗青の月を殴り、少女と春乃妹の腕を掴む。暗青の月の使い手は、海に殴り落とされると、波に流されて船から遠ざかっていった。

「承太郎、どうした?さっさと二人を引っ張り上げてやらんかい!」

二人を引っ張り上げようとしている承太郎だが、その額には尋常ではない汗が浮かんでいた。

「ち、ちくしょう、引きずり込まれる、」
「え!?」
「なんだって!」

スタープラチナの手に、フジツボが付いていた。

『…この子、だけでも…!』

春乃妹は、自分の腕にしがみ付く少女を、何とか承太郎の方へ押し上げようとする。

「承太郎、スタンドをひっこめろッ!!」
「それが出来ねーから、…ヌウウ、掻きたくもねー汗を掻いているんだぜ、」
「春乃妹!手を伸ばすんだ!」
『お兄ちゃん…、この子を先に…、きゃっ!!』
「おい、奴のスタンドが春乃妹の足を掴んでるぞ!」
「ううッ、」

ガクン、と春乃妹の身体が何かに引っ張られる。それにつられ、承太郎の身体も強い力で引っ張られ、二人は海に落ちてしまった。

「JOJO!春乃妹!!」

花京院はとっさに法皇の緑を出すが、救えたのは少女だけだった。

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