暗青の月

船員に、密告を見逃してくれと訴える子供。しかし、船員はそれを許すわけがなかった。それに焦った子供が船員の手に噛みつくと、高い船の上から海に飛び込んで行った。

「おほ〜〜っ、飛び込んだぞ…。元気ぃーっ。」
「陸まで泳ぐ気だ。」
『…危ないのに…。』
「どうする…?」
「けっ、ほっときな。泳ぎに自信があるから飛び込んだんだろーよ。」

“心配”の“し”の字もない承太郎。しかし、それを見ていた船員が顔色を変えた。

「ま…、まずいっスよ、この辺はサメが集まっている海域なんだ。」
「なっ、おい小僧!もどれーッ!もどるんだ!危険だッ!」
『サメが…!』

子供は振り返り、海面からはみ出た鰭を見つけた。

『あ…っ!』

春乃妹が思わず目を瞑る。命を危機を感じた矢先、サメが空中に吹き飛んだ。何が起こったのか分かっていない子供の襟を掴んだのは、承太郎。スタープラチナでサメを殴り飛ばしたのだ。春乃妹は恐る恐る目を開けた。

「やれやれだぜ、クソガキ。ん?」

何かに気付いた承太郎は、子供の胸に手を当てた。

「てめー、女か…。やれやれだ…。」

少女の首元を掴み直した承太郎は、船に向かって泳ぎだした。

「じょ、承太郎ッ!下だ!か…、海面下から何かが襲ってくるぞッ!サメではない!す…、すごいスピードだ。」
「!?」

承太郎と少女の下に見えた影。

「あの距離なら僕にまかせろッ。『法皇の緑』っ!!」

花京院の法皇の緑が、承太郎と少女を掴んで引き上げた。

「き、きえたぞッ!」
「「スタンド」だッ!今のは「スタンド」だッ。」
「海底の『スタンド』…。このアヴドゥル…、噂すら聞いたことのない「スタンド」だ。」

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