暗青の月

ポルナレフを仲間にしたジョースター一行は、チャーターしていた船に乗り込んだ。

「香港からシンガポールまで、まる3日は海上だな。まっ…、ゆっくりとえい気を養おう。」

ジョセフの言葉に、承太郎と花京院はビーチチェアでくつろいでいた。その少し離れた船のふちで、海を眺める春乃妹。

「しかし、おまえらな〜、その学生服はなんとかならんのか〜!そのカッコーで旅を続けるのか。クソあつくないの?春乃妹ちゃんを見習ったらどうじゃ。ラフな格好じゃぞ。」
「僕らは学生でして…。ガクセーはガクセーらしくですよ。…ま、春乃妹も一応ガクセーですけどね。」
「フン、」
「…そう言えば、どうして春乃妹ちゃんは学生服を着らんのじゃ?」
「…ああ、実は僕が昔、「春乃妹には真っ白のワンピースが似合うよ。」と言ってから、寝間着以外の服は好んで着なくなりました。」
「なんじゃ、そりゃ。」
「ああ見えて、春乃妹は人見知りが激しくて、学校が嫌いだったんです。僕も学校はあまり好きではなかったのですが、春乃妹はその何倍も嫌っていた。」
「「…。」」
「人と話すのが怖かったそうです。だけど、ジョースターさん達と旅を始めてから、春乃妹は良く話すようになった。」

花京院は優しい目で春乃妹を見つめていた。承太郎も、何を思ったのか春乃妹の姿を見つめていた。二人の視線に気付いたのか、春乃妹は振り返る。ふわりと揺れたワンピース。波風に揺れた黒髪。

「……やれやれだぜ、」
「「?」」

気付かぬうちに熱くなった顔を隠そうと、帽子を下げた承太郎だった。

「何か見えたかい、春乃妹。」
『…クラゲ…、たくさん浮いてるの…。』
「ほぉ、クラゲか。」
「はなせ、はなしやがれ、このボンクラが〜〜ッ!」

騒がしくなった甲板。何事かと覗き見ると、一人の船員が、暴れる子供を捕まえていた。

「おい…、どうした!?わしらの外には乗客は乗せない約束だぞ。」
「すみません…、密航です。このガキ、下の船倉に隠れてやがったんです。」
「密航?」

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