銀の戦車

戦いは店を出て暫く歩いた場所にあったタイガーバームガーデンで行われた。一見優位に立ったかと思われたチャリオッツだったが、アヴドゥルの魔術師の赤の威力には及ばず、戦いの末炎に覆われて敗北した。

「炎に焼かれて死ぬのは苦しかろう。その短剣で、自害するといい…。」

そういって、ポルナレフに背を向けたアヴドゥル。ポルナレフはその背目掛け、短剣を投げようとしたが、止め、自分の首筋に剣先を向けた。

「フフ…、やはりこのままいさぎよく焼け死ぬとしよう…。それが君との戦いに敗れたわたしの、君の『能力』への礼儀…。自害するのは無礼だな…。」

そう言って目を閉じたポルナレフ。すかさずアヴドゥルは炎を消し去った。

「あくまでも騎士道とやらの礼を失せぬ奴!しかも、私の背後からも短剣を投げなかった…!DIOからの命令をも超える誇り高き精神!殺すのはおしい!なにかわけがあるな…。」

ポルナレフの前髪を掻き分けると、額に埋め込まれた肉の芽が見つかった。

「JOJO!」
「うむ。」

承太郎が、スタープラチナで肉の芽を抜き去る。その様子を見たくないのか、春乃妹は目を瞑り、両手で耳を覆う。ジョセフも苦虫を噛み潰したような顔をした。

「この触手がきもち悪いんじゃよなァ〜。」

肉の芽を取り払われたポルナレフ。春乃妹は涙の壺を出して、ポルナレフの怪我を治していく。

「これで、肉の芽がなくなって、にくめないヤツになったわけじゃな。ヒヒ、」
「花京院、オメーこーゆーダジャレいうやつってよーっムショーにハラが立ってこねーか?」
「…さ、さあ…。」
「何じゃ承太郎、冷たい奴じゃ…。のう、春乃妹ちゃん!」
『…えっと…、おじ様のダジャレは…面白いと…、思います…。』
「ホレ見ろ、承太郎!春乃妹ちゃんはわしの見方じゃ!」
「やれやれだぜ…。」
「気を使う必要はありませんよ、春乃妹さん。」
「アヴドゥルまで…!失礼な奴等じゃ…!」
『…おじ様らしい…ダジャレ…。』
「やっぱり春乃妹ちゃんは味方じゃ!」

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涙の壺



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