銀の戦車

結局、ジョセフの頼んだ料理とは別に、一品だけ頼むことにした春乃妹。

『…酢豚を…、』
「畏まりました。」

暫くしてやってきた酢豚を皆でつまんでいると、男が器用に箸でニンジンを掴み、口を開いた。

「手間暇かけて、こさえてありますなあ。ほら、このニンジンの形。」
『…可愛い。』
「おや、お嬢さんの方が可愛いですよ。…しかし、この星の形…、何か見覚えあるなあ〜〜〜。」

五人は男の言葉に、反応し、警戒する。

「そうそう、私の知り合いが、首筋にこれと同じ形のアザを、もっていたな…。」
「きさま!新手の…、春乃妹、その男から離れろ!」

男は星型のニンジンを指でつまみ、自らの首筋に当てて見せた。春乃妹はすぐさま男から離れる。突然、器に入っていたお粥が溢れ出し、中から出てきた細い剣がジョセフめがけて振り下ろされた。

「スタンドだッ!」

すかさず義手である左手で食い止めたジョセフ。アヴドゥルはスタンドを出し、攻撃を仕掛けた。しかし、細い剣先で円を描く様に炎を掻き消されてしまう。

「な…、なんという剣さばきッ!」
「おれの『スタンド』は、戦車のカードを持つ『銀の戦車』!モハメドアヴドゥル、始末してほしいのは、貴様からのようだな…。」
「恐るべき剣さばき、見事なものだが…相当うぬぼれが過ぎないか?ああーっと、」
「ポルナレフ…。名のらしていただこう。J・P…ポルナレフ。」

かくして、DIOの刺客であるポルナレフと、アヴドゥルの戦いが始まった。

「メルシーポークー。自己紹介、恐縮のいたり。ムッシュ・ポルナレフ、私の炎が自然通り、常に上の方や風下へ燃えていくと考えないでいただきたい…。炎を自在に扱えるからこそ、『魔術師の赤』と呼ばれている。」
「フム。この世の始まりは、炎に包まれていた。さすが始まりを暗示し始まりである炎をあやつる『魔術師の赤』!しかし、この俺をうぬぼれというのか?この俺の剣さばきが…。」

投げられた五枚のコイン。

「コイン5つをたったのひと突き、重なり合った一瞬をつらぬいた。」
『…すごい…、』
「よーく見てみろ。」
「コインとコインの間に、火炎をもとり込んでいる。」

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