銀の戦車

「こいつのひたいには……DIOの肉の眼がうめ込まれていないようだが……!?」
「「灰の塔」は、もともと旅行者を事故に見せかけて殺し、金品を巻き上げている根っからの悪党スタンド。金で雇われ、欲に目がくらんで、そこをDIOに利用されたんだろーよ。」

アヴドゥルは灰の塔の使い手…グレーフライに、傍にあった毛布を掛けてやった。その時、春乃妹の耳が不可思議な音を捉えた。

『……変な音…、』
「春乃妹?」
「変じゃ。さっきから、気のせいか機体が傾いて飛行しているぞ…。」

ジョセフの言葉に、五人は意識を集中させる。

「やはり、傾いている…。ま…、まさか!」

ジョセフは何かに気付いたのか、操縦席のある機内前方に突き進んでいく。それに気付いたスチュワーデスが止めに入るが、ジョセフどそれを振り切って進んでいく。そして、

「どけ、アマ。」

承太郎もまた、スチュワーデス振り切った。

「おっと、失礼…。女性をじゃけんに扱うなんて、許せんヤツだが…、今は緊急事態なのです。ゆるしてやって下さい。行くよ、春乃妹。」

花京院は、弾かれたスチュワーデスを支えると、すぐさま春乃妹の手を引いて承太郎の後を追う。

「なんてこった、してやられた、」
「舌を抜かれている。あのクワガタ野郎、すでにパイロットたちを殺していたのか!」
「降下しているぞ…。自動操縦装置も破壊されている……。この機は墜落するぞ…。」
『この人たちは、もう助からないの…?』
「恐らくね…。舌を抜かれてかなりの時間が立ってる。すでに失血死しているさ。」
「ぶわばばばあはははーーッ!!」

突然の笑い声に、五人は振り返った。そこには、体中から血を噴き出しながら笑う、グレーフライの姿が…。

「お前らはDIO様のところへは行けんン!」

好き放題喋ったグレーフライは、やがてその場に倒れて力つきた。

「ひ、」
「さすがスチュワーデス。プロ中のプロ…。悲鳴を上げないのは、うっとーしくなくてよいぜ。そこで頼むが、このじじいがこの機をこれから海上に不時着させる!他の乗客に救命具つけて、座席ベルト閉めさせな。」
「うーむ、プロペラ機なら経験あるんじゃがの…、」
「プロペラ…、」
「しかし承太郎…、これでわしゃ、3度目だぞ。人生で3回も飛行機で墜落するなんて、そんなヤツあるかなぁ。」
『…おじ様…、二度ある事は、三度あるの…。』
「ああ…。2度とテメーとは一緒に乗らねぇ。」

飛行機は、香港沖35kmに不時着した。すぐに救助のヘリが到着し、飛行機に乗っていた乗員、乗客は無事に救助された。

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