幽波紋の戦士たちの巻

『…皆はどこかに行っちゃうの…?』

ホリィを見ていた春乃妹は、花京院の方へ振り返った。すかさず、アヴドゥルが聞き返す。

「…何故、そう思ったんですか?」
『…お兄ちゃんが、DIO様の話をしてたから…。』
「「「「……。」」」」
『…お兄ちゃん、何処かに行っちゃうの…?』
「…ああ。…ちょっと、DIOに会いに行くよ。」
『…どうして?』
「…どうしても、会わなきゃいけないんだ。承太郎やジョースターさん、アヴドゥルも、DIOに会わなきゃいけないからね。僕が案内するんだよ。」
『…私も行「ダメだ。」…どうして、ダメなの?』
「…春乃妹、そろそろ一人立ちする時期だ。いつまでも僕にくっついたら、自分のやりたい事も出来なくなってしまうよ。」
『…お兄ちゃんと、一緒に居たいと思っちゃダメなの…?』
「…ハッキリ言うよ…。僕だって、一緒に居たいさ。僕たちは二人で一人のようなものだからね。でも、僕は承太郎達と行かなくてはいけないんだ。春乃妹を連れてはいけない。」
『…お兄ちゃんは、嘘付きよ。』

春乃妹はホリィを指差した。

『私に、隠し事をしないで…!ホリィさんの身体に何が起こってるか、私にだって見えてるもの。DIO様を…、DIOを倒しに行くんでしょう?さっき、この部屋の前を通り掛かった時に、少しだけ聞こえた…。』
「…隠し事をしたのは、ごめん。でも、春乃妹を危険に巻きこみたくないんだ。判ってくれないか?」
『…どうして?』

不意に現れた涙の壺。春乃妹は涙の壺が乗った両手をそっと突き出した。

『…私だって幽波紋使いなの…。覚悟は、出来てる。私も連れって行って!』

花京院は肩を竦めた。自分から春乃妹には内緒で、と言っていたのに、本人を目の前にすると話してしまう。自分は甘い。春乃妹の目を見れば、その目は揺るがぬ意志で輝いていた。

「承太郎、ジョースターさん、アヴドゥル…、先程僕が言った事は忘れてください。それと、お願いがあります…。」
「…わかっておる。」
「…本人が言いだした事です。きっと、止めても聞かないでしょう?」
「…やれやれだぜ。」
「承太郎、さっきからそれしか言っておらんぞ。」
「黙ってろ、じじい。」

こうして、五人は打倒DIOの旅を始める事になった。

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涙の壺



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