DIOの世界

それから四人は、ポルナレフとアヴドゥル、イギーを探して屋敷を歩き回った。そして、ポルナレフと思われる声が聞こえた部屋の壁を、外からスタープラチナが殴り壊した。

「ジョ…、ジョースターさん!」
「安心するんじゃ…ポルナレフ、」

DIOはにやりと笑うと、暗闇に姿をくらました。春乃妹がポルナレフに駆け寄った。

『ポルナレフ!』
「春乃妹ッ!よかった!無事だったんだな!?」
『うん…!』
「今のがッ!DIOだなッ!」
「やつを追う前に言っておくッ!おれは今、やつのスタンドをほんのちょっぴりだが体験した。い…、いや…、体験したというよりは、まったく理解を超えていたのだが…。あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!「おれは、奴の前で階段を登っていたと思ったら、いつの間にか降りていた。」な…、何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった…。頭がどうにかなりそうだった…。催眠術だとか超スピードとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。」
「アヴドゥルとイギーは?」
「こ…ここまではこれなかった…。…おれを助ける…ために…、」
「…、」
「…そうか…。」
『…、』
「…ジョースターさん、陽が沈みかけています…。急がないと…。」
「とにかく、今言えることはDIOが太陽の光には弱いってことだけじゃ…。」

花京院は、ヌケサクの入った袋を引き摺ると、乱暴に投げた。

「おい、「ヌケサク」、おまえとくだらん会話しているヒマはない…。質問にはすばやく答えるんだ。いいな。」
「ヒ…ヒイ、」
「この階の上はどうなっている?」
「と…、塔です。てっぺんに部屋がひとつあります。DIO様は昼はいつもそこにいます。」
「その塔にほかの階段はあるのか?」
「な…、ないです。こ…、これひとつだけです。」
「よし、案内しろ。」

六人は塔の階段を上っていく。しんと静まり返った塔の中、承太郎はスタープラチナで塞がれた窓を破っていった。

「気をつけろ、ヤツはその棺桶の中とは限らん。どこか…その辺に潜んでいるかもしれん。」

花京院が春乃妹を護るように立つ。ジョセフが、棺桶を囲むように指示を出すと、ヌケサクに蓋を開けるよう命令した。ヌケサクはゆっくりと蓋を開ける。…中にいたのは、蓋を開けていたはずのヌケサクだった。

「な…なにィー!ど…どうしてヌケサクが棺桶の中にッ!わしは一瞬たりと目をはなさなかったッ!」
「超スピードとか!催眠術じゃあだんじてねー!おれの時と同じだッ!」
『これが…、』
「「世界ッ」!?」
「野郎…おもしろくなってきたぜ…。」


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