幽波紋の戦士たちの巻

それは清々しいはずの朝に起こった。

「ホリィ……、おい、ホリィ。」

ジョセフはホリィを探していた。その手に持たれたズボンは承太郎のズボンだ。自分のと間違えて置かれたのだろうか。しかし、いくら呼び掛けても返事は来ない。そこで、ホリィに言われていた事を思い出す。

「(……聖子って呼ばなきゃ、出てこないのかなァ…。)」




「今日こそは、まじめに学校行くぜ。」

所変わって、承太郎。玄関を開けたところで気付いた。いつもなら、子離れしない自分の母が、いってらっしゃいのキスだと言ってくっついてくるのだが…。

「(―――妙だな。…いつもならこう来るはずなんだが…。)」

今日の空条家の屋敷は、いつもなら響いているホリィの明るい声も聞こえず、静まり返っていた。





ホリィを一番に見つけたのは、アヴドゥルだった。偶然通りかかった台所の前に、一本のスプーンが落ちていた。妙な事態に恐る恐る覗いたその先、見えたのは開きっぱなしの冷蔵庫。その前には散らばった調理器具。そして…、気を失ったホリィの姿だった。アヴドゥルはホリィの異常に気付く。背中に生えた、野苺のような、しかしながら鋭い棘の生えた植物。

「非常にまずい…。こ…、このままでは!…「死ぬ!」「とり殺されてしまう!」」

そう言ったアヴドゥルの背後に現れた、二つの影。承太郎とジョセフだった。ジョセフは嘆いた。ジョセフの最も恐れていた事が起こってしまった。承太郎も、微かながらに震えていた。

「言え!「対策を!」」
「DIOを見つけだすことだ!DIOを殺して、この呪縛を解くのだ!それしかない!!」

しかし、ジョセフの念写ではDIOの居所を掴めなかった。そこで承太郎は、自らのスタープラチナで写真を見て、DIOの背後に写っていたナイル・ウェウェ・バエをスケッチした。

「エジプト!奴はエジプトにいるッ!それも、アスワン付近と限定されたぞ!!」

[ 10/134 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

涙の壺



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -