幽波紋の戦士たちの巻
それは清々しいはずの朝に起こった。
「ホリィ……、おい、ホリィ。」
ジョセフはホリィを探していた。その手に持たれたズボンは承太郎のズボンだ。自分のと間違えて置かれたのだろうか。しかし、いくら呼び掛けても返事は来ない。そこで、ホリィに言われていた事を思い出す。
「(……聖子って呼ばなきゃ、出てこないのかなァ…。)」
「今日こそは、まじめに学校行くぜ。」
所変わって、承太郎。玄関を開けたところで気付いた。いつもなら、子離れしない自分の母が、いってらっしゃいのキスだと言ってくっついてくるのだが…。
「(―――妙だな。…いつもならこう来るはずなんだが…。)」
今日の空条家の屋敷は、いつもなら響いているホリィの明るい声も聞こえず、静まり返っていた。
ホリィを一番に見つけたのは、アヴドゥルだった。偶然通りかかった台所の前に、一本のスプーンが落ちていた。妙な事態に恐る恐る覗いたその先、見えたのは開きっぱなしの冷蔵庫。その前には散らばった調理器具。そして…、気を失ったホリィの姿だった。アヴドゥルはホリィの異常に気付く。背中に生えた、野苺のような、しかしながら鋭い棘の生えた植物。
「非常にまずい…。こ…、このままでは!…「死ぬ!」「とり殺されてしまう!」」
そう言ったアヴドゥルの背後に現れた、二つの影。承太郎とジョセフだった。ジョセフは嘆いた。ジョセフの最も恐れていた事が起こってしまった。承太郎も、微かながらに震えていた。
「言え!「対策を!」」
「DIOを見つけだすことだ!DIOを殺して、この呪縛を解くのだ!それしかない!!」
しかし、ジョセフの念写ではDIOの居所を掴めなかった。そこで承太郎は、自らのスタープラチナで写真を見て、DIOの背後に写っていたナイル・ウェウェ・バエをスケッチした。
「エジプト!奴はエジプトにいるッ!それも、アスワン付近と限定されたぞ!!」
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涙の壺