ホル・ホースとボインゴ

DIOはマリアの部屋に来ていた。部屋の中から、マリアと春乃妹の楽しそうな話し声と、ピアノの音が聞こえる。DIOはドアをノックした。

「マリア、」
「DIO!…ちょっと待ってくださる?」
「ああ。」

マリアは春乃妹に、DIOが来たことを伝える。春乃妹はすぐに顔を青くした。

「大丈夫。私と一緒にいる限り、手は出させません。」

マリアは優しく春乃妹の頭を撫でる。春乃妹は頷く。マリアはドアを開けた。DIOが部屋を覗きこむ。春乃妹は小さく震えていた。マリアがDIOの視線を遮るように立ち、首を傾げた。

「なにか?」
「…トロイが帰ってきた。」

“トロイ”という単語に、春乃妹はピクリと反応する。

「あら、そう。それで?今どちらに?」
「もういない。」

DIOの言葉に、マリアはなにを察したか目を見開いた。そして、悲しそうに眼を伏せる。

「…それは…とても残念です。」
「フン、」
「ジョースター一行は、今どちらへ?」
「すでにカイロについている。ホル・ホースが向かっただろう。」
「そう…。では、この館につくのはもうすぐというわけですね。」
「ああ。…おれは部屋にいる。」

DIOはくるりと背を向けて部屋を立ち去った。マリアがドアを閉め、鍵を掛ける。スタンドで鍵を強化するのは忘れない。マリアは春乃妹に駆け寄り、未だに小さく震えるその身体を抱きしめた。

「大丈夫よ、春乃妹さん。DIOはもう部屋に戻りました。DIOの部屋はこの建物の一番上にあります。降りてこない限り、何ともないわ。…大丈夫。」
『…トロイは…、』
「…彼は、DIOの手下でした。…あの様子からすると…、どうやらDIOに血を吸われて亡くなったのでしょう。」
『…!』
「…怖い?」
『…少し…。』
「大丈夫。大丈夫よ。もうすぐ、あなたのお仲間がこの館に来ます。必ず送り届けるわ。」

誰かが部屋のドアをノックした。

[ 121/134 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

涙の壺



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -