DIOの呪縛の巻

あれから、花京院兄妹は空条家に一泊することになった。何でも、肉の芽を抜いたばかりの花京院は、それ以前の承太郎からの傷で動けず。春乃妹もそんな花京院から離れようとしないからだ。それなら、とジョセフは一晩泊っていく事を勧め、ホリィも「承太郎のお友達と、ガールフレンドなら大歓迎よ!!」とハートを飛ばす。花京院は、“ガールフレンド”という単語に(“彼女”の意味で捉えた)反応し、承太郎を睨む。承太郎は自分の母親に説明と訂正するのを忘れていた事を思い出して、心の中でやれやれだぜと呟くのだった。その後、花京院の治療をしたり、DIOについて話を聞いている間、春乃妹はホリィに手を引かれ、御下がりでよければ、と着せ替え人形にされていた。着せかえられる度に真っ赤に赤面する春乃妹に、ホリィから可愛い可愛いと、実の娘のように可愛がられ、頭をなでられ、さらには「承太郎に見せなきゃ!」と張り切って手を引かれた。春乃妹は恥ずかしさのあまり抵抗するのを止め、ホリィの御下がりである薄ピンクのフリルシャツに、黒地の短いプリッツスカートを身に纏ったまま、承太郎達の前に出された。気のせいか、シャツの下に透けて見えた紐に、四人は目を見開く。

「見て見て、皆!春乃妹ちゃんに私の御下がりを着させてみたの〜!可愛いでしょう!!?ねぇ、どうかしら承太郎!制服っぽいの、これしかなっかったのだけど…、似合ってると思わない〜?」
「な、何をしとるんじゃホリィ!も…、ものすごぉぉおく似合っておるではないか!」
「ジョースターさん、言葉が矛盾してますよ。ですが、私も似合っていると思います、春乃妹さん。」
「……やれやれだぜ。」
「……春乃妹、こっちにおいで。」

ジョセフはコロコロと表情を変えながら、春乃妹を上から下に、下から上にと視線を遊ばせ、アヴドゥルはそんなジョセフに呆れながらも微笑む。承太郎はというと、ちらりと春乃妹を見てすぐに、帽子を押さえて顔を伏せた。三人の反応を見た花京院は勿論、これ見よがしに春乃妹を呼び、飛び込むように自分に抱きついた妹を抱きしめた。その際にひらりと弾んだスカートに、三人の目線はどこを向いたのやら…。ホリィは満足気に微笑むと、静かにその場を後にした。

「とても似合っているよ、春乃妹。」
『…本当…?』
「ああ、本当さ。こういった服は、僕の前でだけ着てほしいくらいだよ。」
『……着替えてくる…。』

そう言って、パタパタと部屋を出て言った春乃妹を見届けた花京院は、くるりと三人に振り返る。

「皆さん、失礼ですが、春乃妹を厭らしい目で見ないでください。」
「い、厭らしい目でなど見ておらんわ…!」
「私もですよ。」
「…俺はそもそも、興味ねーぜ。」
「…同性愛者ですか?」
「シバくぞ、てめー。」
「冗談ですよ。」

なんて、会話があったとかなかったとか。

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